このページのコラムは最新情報だけを掲載。PDA用に特化したページです。

切り出し設定
JFILEダウンロード

PTMファンサイト10月8日発行

[最新コラム]

  「パワータンク」
「これはね宇宙でもかけるし、水の中でも書けるペンだよ」私のその一言で少年は私が手にしているペンを食い入るように見た。窓には大きな雨粒が殴りつけられていた。「こういった日でも使えるっていうのは外で測量をしているヒトやお巡りさんや自衛隊のように外でも書類を書かなければいけないヒトにはいいかもしれないね」。私は自分の手に握られたペンを少年に渡してみた。クリップの所にはuniPOWERTANKとい文字がエンボスで彫り込まれ、まるでスペースシャトルを彷彿とさせるようなルックスをしたペンを手に取り少年は「かこいいなぁ」とため息を漏らした。このとき彼の頭の中では宇宙でこのペンを使う自分や海底の沈没船をスケッチする自分を想像していたのかもしれない。

三菱のデザイナーがスポーツカーをイメージして作成したこの三菱のuniPOWERTANKという加圧型のペンは大人が持つには少々格好の悪い形をしているように私には思える。

 
時折、ボテが出る(標準的なレベル)事を除けば宇宙空間でもかけるといううたい文句のこの加圧型の替え芯を利用したペンはまるでインクを吹き付けるかのように紙の上にインクを落とせるペンである。私の個人的な印象でもこの替え芯は非常に優れた替え芯だと思う・・・

しかし、どうもデザインが頂けない。
「三角ボディーを使う」「フィット感の良いグリップを使う」どれも実用においては納得できる素材使用と形状選択であると思う。
だが、どうしてこのケーシングで加圧型リフィルをつかうのかがピンとこない。同種の加圧型ペンであるフィッシャーはパッと見ただけで「これはNASAに依頼されて宇宙空間で利用できるように作られ、民間需要においてもダイバーや探検家、それ以外のアウトドアー派の人々にとっても使い勝手の良いペン」という雰囲気が漂っている。ふりかえるに我が大三菱のパワータンクの方はといえば、まるで男の子の秘密基地ごっこ用の玩具のおまけについてくるペンのような雰囲気が漂っている。

非常に優れたリフィルであり、ケースがもう少ししまったものならば常用したいのだが・・・営業職の人が客の前でポケットからさっとパワータンクを取り出して商談契約書に書き込みを入れるっていうようなシーンはどうも思い浮かばない。これがフィッシャーならばポケットから取り出した途端にお客様の目は「おっ!なんだこれは・・」ってなるんだろうが・・・

また、本来の使用目的である悪天候などの筆記環境として劣悪な場所での筆記において特戦隊ペンはその華奢な外見から、汚れや衝撃に弱いのではないだろうかという疑念を持ち、もしフィッシャーとこのパワータンクの両方を持つ持ち主ならば、ツルンとした金属ボディーといかにも頑丈そうなケーシングを持つフィッシャーの方を選択してしまうような気がする。デスクトップや商談などの仕事で利用するならば、妙に奇をてらったその外形は敬遠され、アウトドアーで使うならば信頼性に欠けたデザイン、どちらかというと子供のキャラ商品のような外形・・・・

しかし、もしこのペンの外形を大人の使用に耐える外形にしていたならば、後に事務用に開発されたパワータンクスタンダードまで発展しなかった可能性もあるように思える。

宇宙で書けるペン、水中で書けるペン、こういったうたい文句の大人向けのシックなデザインのペンをメーカーが投入した場合そのメーカーは利益をあげられるだろうか。

「いったいなんのために水中で書ける必要性があるの?」
多くの大人達はそんな言葉を口にしてそのペンを横目で実ながら、100円ボールペンを買う。

非常に優れたリフィルの開発に成功したのだから、もうすこしデザインに力を入れて欲しかったという気持ちはあるし、これだけのリフィル開発と素材や加工の技術を持っているのだから出来るはずだとも思う。しかしよくよく考えると、日本の大人に夢のある商品を購入する意欲はないのかもしれない。あくまでも夢は子供のためのモノ。だから、メーカーは子供に焦点当てて価格設定を行いデザインを行う。

そして、価格がこなれてきたら事務用にも展開する(このコンテクストはドクターグリップでも見られた)。

フィッシャーの未来への提言としてフィッシャーの加圧ペンは文房具の歴史に名を残しクラシックと呼ばれる存在にこれからなっていくのだろうと思う。いつの時代でも大人が夢を見て憧れを持てばその商品はクラッシックとなっていく、日本にこのような商品が極めて少ないのは大人達が夢を見ることを禁じられてしまっているからかもしれない。


http://www.mpuni.co.jp/lineup/ballpen/powertank/index.html

http://www.spacepen.com/



mailto:info_ptmfan@mac.com
>>> INDEXに戻る