「もうかんじ」
東三河の三河弁

【三河武士がゆく】

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◆「もうかんじ(モーカンジー)」は、「蒙古人」 2022年9月9日
◆加納御前、亀姫がくる! 2022年9月6日
◆「もうかんじ」は、「化け物」 2022年6月27日
◆むくり・こくり 2013/01/15
◆おばけは「もう」と鳴く 2010年2月11日
◆「もうかんじい(もうかんじん?)」2007/09/29

 
◆「もうかんじ(モーカンジー)」は、「蒙古人」 2022年9月9日

お祖母様が設楽出身の方から、情報をいただきました。

(※原文の旨趣を損なわないように、個人情報を削除して、内容をまとめてあります)
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「もうかんじ」ですが、蒙古人来襲の事であると本に書かれてました。

木曽の流れとなる武士が、九州から来たと云う推測があったように思います。
或いは出兵帰還したか。

子供が悪いことをする(寝ないとか)ともうかんじがくるぞーと小さいときに良く脅されました。

もうかんじは、叔母は海からくる、母は山からくると言ってました。

非常に狭い範囲にしか伝わってないようなので、我が家も残したいと思います。

〈もうかんじの発音〉
「も」より「う」の方を高く発音、イントネイションは、「じ」に込めます。
「う」から「じ」までは同じ高さ、「もぉかんじぃ」に近い。
蒙古人の、「ん」を下げない発音に似てます。


鈴木健次氏の「日本語の源流」(1995,青室舎,80頁)に、以下のように書かれていました。

●モーカンジー

昔からの伝統芸能とともに古い言葉が残されている例として奥三河の旧・名倉村を挙げよう。

この地方の子供は、父親からこういって叱られたものだ。

「ぐずぐずいってるとモーカンジーがでるぞ!」

これを聞いて泣きやまぬ子供はいない。

「モーカンジー」とは何か。
それはあの「蒙古人」なのだ。

名倉村の人々は、何百年ものあいだ子供達にその恐ろしさを伝えてきたのである。

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※管理人:「名倉村」は、昭和31年まで存在した村名です。現在の愛知県北設楽郡設楽町内に位置しています。

「もうかんじ」
 
◆加納御前、亀姫がくる! 2022年9月6日

「もうかんじ」ではありませんが、各地に地域限定の恐怖対象があったようです。

岐阜市在住の友人から。
加納には、子供が悪さすると「加納御前・亀姫が来る」という伝説があったそうです。

加納城は、一時期奥平信昌(貞昌)の居城でした。信昌と言えば、長篠の籠城戦で有名です。信昌の妻が、徳川家康の長女亀姫(母は築山殿)です。

また、北伊勢には、「がもうじが来る」という伝説も。「がもうじ」とは、蒲生氏郷らしいとか。

「もうかんじ」
 
◆「もうかんじ」は、「化け物」 2022年6月27日

新城在住の方から、情報提供がありました。
(原文の趣意をできる限り損なわないようにしています)

「もうかんじ」は今では使わないそうです。

旧設楽町と鳳来北部では使っており、田口や清崎、田峯地区の75歳以上の人なら使っていたはずとのことです。

子供が悪いことをした戒めに「もうかんじが来るぞー」と言われたものだそうです。

貴重な情報、ありがとうございました。

※気が付いたら、もう15年です。息が続く限り、残しておきます。

「もうかんじ」
 
◆むくり・こくり 2013/01/15

慶長二十年(1615年)、土佐神社(一宮村)でおこなわれた踊りの歌詞に「御伊勢山田の神まつり、むくり・こくりを平らげて」(西垣晴次『お伊勢まいり』岩波書店、1983年)という言葉が出てきます。

「むくり」とは蒙古、「こくり」とは高句麗のことで、元寇を意味しており、この慶長二十年の場合は、朝鮮出兵を意味しているのだそうで、わけのわからぬ怪物、つまり得体の知れない恐ろしいものをたとえるときに使われたそうです。

「もうかんじ」
 
◆おばけは「もう」と鳴く(東北地方や信州地方の方言) 2010年2月11日

★上記の記事について、高校の国語の先生からメールをいただきました。

以前レポートで旧津具村の生徒が「もうかんじ」という言葉は、「おばけ」のことだと書いてきたとのことでした。

柳田国男によれば、東北地方や信州地方では、おばけは「もう」と鳴き、ここから「ももんがあ」などの言葉が出たのだそうです。

その国語の先生は、わざわざ出典を探していただいたのですが、わからないとのことでした。「妖怪談義」には載っていなかったそうです。

その他、「ももんじー」「がごじ」などの言葉もあり、関連があるのではと指摘してくださいました。

ありがとうございました。

★「もうかんじい」についてご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示ください。ご了解を得てHPに掲載させていただきます。

「もうかんじ」
 
「もうかんじい(もうかんじん?)」2007/09/29

以前どこかに書いたのですが、行方不明になってしまったので、あらためて書き直しました。

全く聞いたことがない言葉ですね。東栄町の人(設楽町との境ぐらい)が教えてくれました。「言うことをきかんと(きかないと)、もうかんじい(もうかんじん?)が来る!」
と言われて怖かったそうです。

私は始めてこれを聞いたときに、ピントひらめいたことがあります。

ここからは全く私の想像です。

「もうかんじい」は「蒙古人」または「蒙漢人」がなまったものではないでしょうか。鎌倉時代、元寇の時にどこまで蒙古襲来の情報が伝わったかは知りませんが、この奥三河は花祭り伝承の地です。山伏などの修行者によって多くの情報が山奥の里まで伝えられていたことは想像に難くありません。しかし、地元の人たちは蒙古人がどのような人であるのかは知らず、ただ、怖いもの、恐ろしいものとしての印象を強く受けたと思われます。そして、得体の知れない怖いものを差す言葉とし言い伝えられてきたのかもしれません。やがて、数百年の月日が流れても、「もうかんじい」は怖いものの代名詞としてこどもたちに恐れられてきたのです。現在ではほとんど使わないのかもしれません。

あまり自信がないのですが、似たような話を聞いたことがありませんか。ご存じでしたらお教えください。この場所に掲載させていただきます。

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わたしは、両親も、豊橋生まれです(父方の曾祖父母は、幡豆の生まれ)。

「もうかんじ」は初耳でした。

「鬼が来るぞー」は、普通ですが、

「サーカスに売るぞー」
「橋の下に捨てるぞー」

今から考えると、むちゃくちゃなことを言われてきました。

※いまだに、サーカスと聞くと、明るいイメージがしないのは、この所為かも。

「もうかんじ」
 
 
東三河の三河弁
【三河武士がゆく】

「もうかんじ」
◆「もうかんじ(モーカンジー)」は、「蒙古人」 2022年9月9日
◆加納御前、亀姫がくる! 2022年9月
◆「もうかんじ」は、「化け物」 2022年6月27日
◆むくり・こくり 2013/01/15
◆おばけは「もう」と鳴く 2010年2月11日
◆「もうかんじい(もうかんじん?)」2007/09/29