モノクローム写真

 白黒写真は光とそのトーンを読むところに作品づくりの妙味があります。下の写真はモノクロフィルムを使った例であり、フィルムスキャナー直接のスキャンニングのため、白黒写真特有の部分覆い焼き、焼きこみ等は行っていません。ストレートな写真なので参考にしてください。作品のテーマは、これらが単写真ではない為、とくに付けませんでした。そのかわり狙いどころの説明は付けました。


冬の朝、光ともや(大気と水温の差で蒸気が上がる)と鳥の動きを主体に撮影。 いずれ、かも鍋になるだろうが軒下に吊るされた羽がとても美しかった。 かたちをフレーミングすることはカメラマンのセンス。偶然性はない。そのままが表現される。


奥三河 花祭り 黒鬼 (愛知県豊橋 神明社の鬼祭り)
すべての動きと重なりに注意。鬼と左の少年にあたる光に集中してチャンスを待った。 露出をアンダーに撮影、現像をオーバーにして黒くてはっきりしない鬼の面を表現した 盗難車である。場所はROOT1の河川敷、排他的表現のためハレーションを入れて撮影。


浜名湖の湖畔 余呉湖(滋賀県)
大きな松の木が湖畔に向かって伸びている。倒れている訳ではないので生命力を感じた。 雪で覆われた静かな情景を表現するにはカラーよりも白黒使用が多くなる。 萱葺きの民家も白黒のほうがよい。古い色がカラーでは出過ぎる。


豊川稲荷
2008年3月久しぶりにモノクロームを
使ったが、カラーとは違った想像力の
世界がひろがる。


 

モノクロ写真を考える

 なぜ今、白黒写真なのか という考えの人には白黒にとって敵である。白黒写真は、捨て難いと思う人、白黒の中に何かを感じる人、シンプルな白黒の中に新しさを見つけ出す人などによって支えられた消え行く老兵の場に立たされているからです。
 その昔、白黒は 撮影、フィルム現像、プリントをどのようにしたいかを 自分で最初から考える楽しみが魅力で、探求する価値がありました。
 そして、およそここ20年ぐらいの間にカラープリントの価格競争が激化し、白黒写真は価格競争のかげでかげを潜め後退せざるを得なくなった。
 今、現在の状況は、白黒写真を楽しんだ時代の人々は高齢になり、後継者も激減したため白黒写真の衰退が著しい。今後は、写真を デジタル写真、カラー写真さらに白黒写真というコンテンツではっきりと区分されるでしょう。この区分はデジタルが映像データ、色データを極端に変化できる要素を含んでおり、写真以上の曖昧さがあるからです。しかし白黒の立場が縮小傾向にあるのは、変わらないと思います。

 tp


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