第91章 パナマは血に染まった




 それは唐突に始まった。朝日が差すと同時にパナマ基地の熱源センサーが無数の熱源を捉えたのだ。

「移動熱源無数に接近!」
「迎撃システムを起動。基地に警報を出せ!」

 アラスカの戦いの前からこういう事態は既に予想されており、パナマには厳重な警戒態勢がしかれていた。この攻撃の30分ほど前から要所をザフトのコマンドと思われる少数の歩兵が襲撃をしており、警戒網に穴を開けようとしていた。もっとも、このコマンドは陸軍の部隊に発見されて直ぐに掃討されてしまったのだが。コマンドは確かに精鋭だが所詮は少数の軽装歩兵なので、発見されたら正規部隊の敵ではないのだ。
 飛来した無数の巡航ミサイルを迎撃ミサイルが迎撃し、それを突破したミサイルを海上に警戒配置に付いていた駆逐艦やイージス艦、戦闘機が迎撃する。その防衛ラインを突破した少数のミサイルはパナマの防御施設に襲い掛かり、次々にそれらを破壊していった。
 このミサイル群に続いてMS部隊が飛来してきた。これをパナマ基地周辺の飛行場から上がってきた戦闘機部隊が迎撃し、熾烈な空中戦が開始される。その戦力は下手をすればアラスカを上回るのではないかと思えるほどに膨大なもので、先の戦いで打撃を受けているザフトには辛い戦いとなった。
 海岸に向っていたザフトの水陸両用部隊は途中で少数のディープフォビドゥンの迎撃を受けたが、こちらは数が少なすぎてさほどの脅威とはならなかった。やはり生産工場があったアラスカに優先配備されていたのだ。
 海岸の微弱な抵抗を排除して上陸を開始したザフトの前に立ち塞がったのは、連合の地上戦力の主力であるヴァデット戦車とストライクダガー部隊だった。上陸したゾノやグーンはリニアガンやビームを受けて次々に仰け反り、撃破されていく。水陸両用機の主力火器であるメーザーは大気中ではそれ程遠くまで届く武器ではないので、砲撃戦には余り向かない。
 だが、海岸線の連合軍の抵抗は少しずつ小さくなっていった。膨大な損害にもめげずにザフトの水陸両用機は上陸を続け、海岸線から内陸へと浸透して橋頭堡を確保していく。海岸の高台に多数設置されていたトーチカも流石にMSの上陸を許したのを見てか、砲撃が止んだ物が多い。中の兵員が孤立を恐れて後退したのだろう。
 そして橋頭堡に次々にザフトの陸戦MSが揚陸されだした。勿論連合の重砲がこの橋頭堡を潰そうと雨霰と砲弾を叩き込み、航空機がディンの防空網を突破して爆弾を叩き込んでくるが、ザフト側もザウートとその対空改装型を多数揚陸してこれに対抗していた。ザウートは装甲を持つ自走砲なので重砲陣地にはそれなりに有利に戦えるし、肩の連装リニアガン2基を対空用オートキャノン2基に載せ代え、更に対空用のD2J索敵システムを頭部に載せて対空プラットフォームに改装した型は航空機に絶大な威力を発揮している。
 連合は何時ものようにサンダーセプターやスカイグラスパーの護衛の下にスティングレイ攻撃機を投入してきたのだが、このスティングレイは初めて見るザウートの改良型の生み出す弾幕に次々に捉えられ、落とされていった。
 この対空型ザウートが積むオートキャノンは一分間に800発の40mm弾を発射する能力があり、それが4門同時に同じ目標を狙うのだから航空機にとってはたまったものではない。しかもこのザウートが搭載するD2J索敵システムは航空機に悩まされてきたザフトが送り込んだ、画期的な対空索敵システムで、電波、レーザー、光学で目標を捕らえ、それと同調してオートキャノンは砲弾を叩き込んでくる。その有効射程は5000メートルにも達し、低空に降下してきたスティングレイの多くが地上からの正確な射撃の餌食となってしまった。
 地上攻撃機がザウートに多数食われた事で航空機の脅威が薄れた事で、ジンやシグー、ゲイツの揚陸が順調に進んだ。車両や歩兵部隊の上陸も始まり、橋頭堡に物資の集積所を作っていく。

 海岸線の橋頭堡から内陸に前進を開始したザフト部隊は、今度は地雷原と戦車部隊の盛大な歓迎を受けることになった。山岳部であるパナマには起伏が多く、戦車の待ち伏せ戦法に向いた地形が多いのだ。ここでもアラスカに現れたH型は配備されており、重突撃機銃を受け付けない装甲によってザフトを苦しめている。
 ただ、ザフトもやられっぱなしでは無かった。すでにこの戦車の存在は確認されているので、重突撃機銃以外にバズーカを装備してきた機体も多く、H型は装甲貫通力に勝るバズーカを持つ機体が相手をする事で対処している。
 また、ザフトはこのH型の動きが妙に鈍い事にも気付いていた。特に旋回速度が遅く、一度防御地形に入るとそこから動こうとしない傾向がある。
 実はこのH型、開発時間短縮のためにヴァデット戦車の設計を可能な限り流用しており、重量が増えたのに足回りはヴァデットそのままだったのだ。その為にこの戦車は足回りの故障が多く、戦場で立ち往生することが多い。更にトップヘビー気味なので下手に走り回ると横転しかねず、殆ど移動トーチカとして使われている。
 つまり、この戦車はMSの機動性には付いて来れないのだ。アラスカ戦ではそれに気付けなかったが、2度目ともなると流石に気付いた。だが連合もそれは承知しているようで、H型の側面をカバーするように標準型のヴァデットが動いている。標準型といっても開戦期から較べれば改良が進んでおり、H型ほどではないが装甲も強化され、撃破され難くなっている。戦争が始まってもう1年、既にジンは戦車に対して圧倒的優位を保てる兵器では無いのだ。

 そして戦車隊に混じってMSも姿を現している。見慣れてきたストライクダガーはもとより、最近になって出てくるようになった新型、105ダガーやバスターダガー、デュエルダガーの姿もある。これらの新型ダガーにはゲイツで無ければ対抗できないので、ゲイツは自然とこれらの新型にぶつけられていった。
 ザフトの侵攻部隊はこれらの強力な連合軍防衛線にぶつかってたちまちその動きを止められていたが、それでも各部隊はジリジリと敵戦線に食い込んで行った。ナチュラルなどに負けてたまるかというコーディネイターなりの意地もある。だがそれ以上に、目の前の敵を倒さないと自分が死ぬという恐怖が先に立っていた。戦場で冷静さを保って戦えるようなベテランはザフトにはすでに貴重な存在なのだ。
 そのベテランで編成された数少ない部隊であるジュール隊は、侵攻部隊の第2波としてパナマに揚陸された。グゥルの数も足りないので潜水輸送艦のハッチから飛び出した後、腰まで海水に漬かりながら陸地まで歩いて行くのだ。
 デュエルを先頭にバスタ−とゲイツ4機がパナマの海岸に辿り着き、周囲の様子を確認したあと、橋頭堡にある前線司令部に連絡を取った。

「戦況はどうなっているんです。我々は何処に向かえばよいか、指示を下さい!」
「ジュール隊か。君達はこのままマスドライバーに向ってくれ。そこが敵の防御が一番厚くて、味方部隊が崩れかけている!」
「了解しました。我々が何とか穴を開けますから、後続部隊と遅れずに投入してください!」
「分かった、頼むぞ。ザウートの砲撃で援護する!」

 司令部との連絡を終えたイザークは仲間達を連れて真っ直ぐマスドライバーを目指した。途中は連合の戦車やMS、ザフトのMSの残骸が散乱しており、どれほどの激戦区なのかを嫌でも思い知らせてくれている。
 そしてイザークたちが到着した場所は、丁度連合軍がこちらを撃ち降ろすようになっている高台の下であった。頭上から降り注いでくるビームや砲弾の雨にザフトMSは遮蔽物の陰に身を潜めており、飛び出す事が出来ないでいる。
 その様を見たイザークは何をやっているのかと味方を口汚く罵った。

「何をやっているんだ。こんな所で情けない!」
「でもイザーク、どうやってあそこまで行く気だ?」

 腹を立てているイザークにディアッカが問う。現実問題としてあそこまで一息に飛ぶのは無理があるだろう。加速用ロケットブースターでもあれば別だが、流石にそんな物は持ってきていない。
 この問いに対して、イザークはとんでもない答えを返してきた。

「ミゲル、俺と一緒に来い。他の奴らは援護射撃をしろ。2回飛んで敵の防衛線に飛び込むぞ!」
「な、ちょ、ちょっと待てイザーク!」

 ディアッカが慌てふためいて止めるが、イザークは聞かずに遮蔽の縁にデュエルを移動させる。それを見てミゲルもゲイツをデュエルの後ろに持っていく。それを見てディアッカは呆れてしまった。こいつ等は自殺がしたいのだろうか。

「おいおい、俺は自殺志願者の友達を持った覚えは無いぜ」
「ディアッカさん、今は援護をしましょう!」

 呆れて二の句が継げないでいるディアッカにエルフィが声をかける。既にシホとジャックは援護するべくライフルを構えていた。周囲の友軍機も同様に援護の態勢をとっている。そして伏せている機体の中から面白そうにイザークに声をかけてくる者がいた。

「面白い、私も加えてもらおうか、イザーク・ジュール」
「グ、グリアノス隊長ですか?」

 なんと、ここで足止めされていた部隊の中にグリアノスのジンがいたのだ。流石に1機で敵陣に突っ込む気にはなれないでいたらしい。

「私のジンはロケットブースターがある。私が先に飛び込んで撹乱をするから、その穴からお前達も来い!」
「頼みます、グリアノス隊長!」
「ふふふ、だが、なかなかに無謀な男だな、お前も。気に入ったぞ」

 グリアノスはイザークに楽しげな声をかけると、ロケットブースターを点火して一気に飛び出した。その直後に伏せているMSが一斉に援護射撃を開始し、高台との間が火線で埋め尽くされる。その視界が染まるような火線の中を飛んでいくジンの姿は、まさしく弾は勇者を避けて通るという言葉そのものであった。
 そして直ぐにイザークとミゲルも飛び出す。グリアノスは敵陣に飛び込むと重突撃機銃で傍のダガーを破壊し、更に砲をこちらに向けようとしたヴァデットを蹴り付けて横転させた。そして直ぐにイザークのデュエルとミゲルのゲイツが飛び込んできて、グリアノスの両側面を固めてビームライフルを放つ。
 イザークとミゲルが突入に成功したのを見て、シホとジャックが飛び出した。

「俺も行きます!」
「ジャックさん、私も出ます!」

 3人を孤立させてはならないと飛び出す2機のゲイツ。それを見てエルフィとディアッカがまた援護を再開した。とにかく突破口は開けたが、そこを潰そうとする敵の圧力も凄いのだ。
 だが、一度出来た突破口は潰されるよりも広がる方が早かった。3機の突入に刺激されたのか、他の機体も次々に飛び込んできたのだ。勿論途中で撃破される者も相次いだが、次々に突破口に突入してきたMSは傷口を広げ、遂には防衛線を分断する事に成功してしまった。
 防衛線を突破された事を知った部隊は急いで後退しようとしたが、防御地形に篭もっていた事が災いして直ぐに後退する事が出来ず、後方に回り込んだザフトMSに撃破されるものが相次いでいる。
 イザークたちの活躍でマスドライバー正面の強固な防衛線は崩された。連合は後方にまだ幾つか防衛線を敷いているようだが、その防御力は先程の防衛線ほどではないようだ。

 イザークは味方部隊が前に出て行くのを確かめながら、ようやく一息ついていた。そのイザークにシホが労いの言葉をかけてくる。

「隊長、さすがですね。見事な突入でした」
「……いや、あれは殆ど自殺だ。今更ながらになんて無茶をしたのかと震えてる」

 イザークは小刻みに震えている右手を左手で握り、押さえ込んでいる。どうやら先程の無茶は戦闘中で頭にアドレナリンが回り、冷静さを失った状態で勢いだけで動いたものだったらしい。それがいざ冷静になって見たら何て馬鹿な事をしたのかと、恐怖と自嘲が込み上げてきたのだ。

「まあ、成功したから良かったようなものだ。もう2度とやりたくは無い」
「それは大丈夫でしょう。味方は敵を押し込んでいます。このまま行けば、マスドライバーは落せます」

 シホの言う通りだった。先ほどイザークが突破したのは連合の主抵抗線で、それを破られた為に連合軍は全域にわたって戦線の縮小を余儀なくされていたのだ。
 だが、まだ切り札であるグングニールの投下予定ポイントの確保は出来ていない。連合の抵抗は尚激しく、ザフトも苦戦を続けている。既に受けた損害はアラスカでの戦闘の損失に匹敵するのではないだろうか。
 そしてザフト部隊の上空に新たな脅威、大西洋連邦本土から駆けつけてきた航空隊が現れた。これには大型爆撃機であるスレイヤーが含まれており、ザフトには手出しできない高度から高高度精密爆撃を仕掛けてきた。これは1機あたり1000ポンド爆弾60発を投下し、ザフトに押さえられた地域に複数機で絨毯爆撃を加える事を目論んでいる。
 風に流されて関係ないところに落ちた物、対空型ザウートに空中で破壊された物もあるが、着弾した爆弾はザフトの地上部隊を容赦なく吹き飛ばした。強烈な爆風と膨大な破片が周囲に吹き荒れ、歩兵や車両を吹き飛ばしてしまう。まともに至近弾を受けた不運なMSなど一瞬で擱座してしまっている。
 イザークやディアッカもこのスレイヤーの高高度爆撃を見上げていたが、流石に手の出しようが無く、歯噛みして見送るしかなかった。元々地上軍の援護が主目的のザフト空中戦力にスレイヤーを落す術は無い。






 このパナマ基地の苦戦は大西洋連邦本土の知るところとなり、近隣の部隊にパナマへの急行が命じられる。洋上をのんびりと航行していたアークエンジェルとドミニオンも例外ではなく、大急ぎでパナマへ向かう事になる。

「サイ君、全艦に第一級戦闘配備を。ミリアリアさんはパイロットに出撃待機を伝えて。MS隊発進用意を!」

 アークエンジェル艦内が俄かに慌しくなり、MS隊の出撃準備が始まる。前からあったトールのストライクには空戦パックが搭載され、更にフラガのクライシスとステラ、アウル、スティングのマローダーが戦闘状態に整備される。
 格納庫ではフラガがマードックに注文を出していた。

「バックパックはミサイルコンテナを頼む。あと、増槽と予備電源を付けてくれ!」
「は、まさか少佐、ここから飛ぶ気ですかい?」
「ああ、多分キースも出るだろうからな!」

 フラガは久々の実戦にかなり士気を高めていた。訓練に訓練を重ねた事で技量も向上させており、MSパイロットとしても超一流になっている。強いて欠点を上げるとすれば、本人はMSより戦闘機の方が好きだという事くらいか。
 フラガのクライシスに増槽が付けられているのを見てトールもストライクに増槽の搭載を求め、フラガのウィングを勤めると主張した。それを聞いたフラガは最初「はあっ?」と理解できない声を上げ、そして困った顔で右手で頭を掻いていた。

「いや、気持ちは嬉しいんだがなトール、お前じゃ俺のウィングはまだ無理だぞ」
「何でですか。俺だって腕は上がってます。スカイグラスパーのキースさんより、ストライクに乗ってる俺の方がきっと役に立ちますよ!」
「う〜ん、そうは言ってもなあ。ストライクに乗ったお前でもキースには勝てんぞ」

 フラガは確信を込めてトールにそう伝えた。偉大な超エースというのは機体が強いから強いのではない。天賦の才とでも言うのか、常人には理解できない戦闘センスを持つ、異常な戦闘技量を発揮するパイロットを指す呼称である。こういうパイロットは漫画の世界の存在ではなく、確かに現実の世界に存在するのである。彼らは周囲の普通のパイロット達から見ると不可能としか思えない機動を見せ、何で当てられるのだと思うような射撃を行う。そういうパイロットだからこそ異常なスコアを記録し、歴史に名を残す。
 フラガはそういうパイロットであり、キースもそういうパイロットなのだ。トールは確かに際立った才能を持つパイロットであり、フラガから見ても信頼できるパイロットに成長したと言えるが、それでも2人と肩を並べるようなパイロットではない。
 フラガに付いてこれるのはアークエンジェルとドミニオンにはキースしかいない。オルガたちは協調性に問題があるので論外で、ステラたちは2人ほど強くない。
 だが、それでもトールがしつこく食い下がってきたので、仕方なくフラガはトールの同行を受け入れた。自らマリューに出撃を伝え、トールに付いてくるように言う。
 マリューはそれを了承したのだが、その時通信画面内のフラガの左腕にステラがひっしとしがみ付く様が映し出された。

「ムウ、私たちは?」
「ああ、ステラたちは留守番だ。マローダーは飛べないからな」
「…………」
「ああもう、そんな泣きそうな顔するなって。直ぐにアークエンジェルも追いつくから」

 女の子を慰めているフラガ。それはまあ問題ない光景に見えるのだが、何故かその様子を見ていたマリューの表情はかなり引き攣っていた。艦橋内のクルーがビクッと反応するほどの危険な気配を振りまいている。



 そしてドミニオンでも出撃準備が急がれていた。キースのスカイグラスパーは勿論、カラミティ、フォビドゥン、レイダーも出撃準備を整えている。MS3機はまだ航続距離上パナマに届かないので、スカイグラスパーだけの出撃となるのだが。

「スカイグラスパーに増槽を積め。MS隊は艦長の指示を待って、オルガの指揮で動くんだ。分かったなシャニ、クロト!」
「うっさいな、いちいち言うなよ!」
「うざ〜い」

 キースに怒鳴られた2人は嫌そうにキースに文句を言うが、言ったとたんにキースにギロリと睨まれてしまい、すごすごと自分のMSの方に行ってしまった。戦場に出る前のパイロットを怒らせてはいけない。
 部下2人の相変わらずの反発振りに困った顔をになったキースであったが、まあ仕方ないかと気持ちを切り替え、艦橋と連絡を取った。

「艦長、こっちはいつでも出れる。アークエジェルの方はどうなってる?」
「フラガ少佐とケーニッヒが出るようです」
「そうか。じゃあ、こっちも出るか」
「あの、大尉。カリフォルニアでレイダーを支給される話を断わったそうですが、何故ですか?」
「ああ、あれね。戦闘機形態もあるって話だから仕方なく乗ったんだが、あれは戦闘機じゃなかったからな」

 それを聞いたナタルはもとより、艦橋クルーや整備兵、オルガたちまでが呆れた顔になった。お前は好きだからという理由で最新型のレイダーを蹴ったのかと。






 地球の降下軌道に侵入して来たザフト艦隊。度重なる戦いで消耗を重ねたザフト艦隊は数も少なく、多くが小さな傷は治さずに戦場に出てきている。その中で1隻だけ場違いにまあたらしいピンク色の戦艦、エターナルがあった。この艦には核動力機が2機とゲイツ1機が搭載されており、ジャスティスとゲイツを降下ポッドに移す作業をしている。
 この艦隊の前方では月からやってきた地球艦隊と交戦している友軍艦隊の姿が見える。彼らもボロボロの身を押しての出撃であり、かなり苦しい戦いをしているはずだ。もっとも、連合の方も消耗を重ねているせいか、先のスピットブレイクに較べるとかなり少ない戦力を投入してきている。
 それを側舷の窓から見ていたセンカは、何故かジャスティスが降下ポッドに乗せられているのを見て不思議そうに隣に居るフィリスに問い掛けた。

「ねえフィリス、何でジャスティスが降下ポッドに乗ってんの? あれって確か直接降下できるでしょ?」
「ええ、性能上ではそうなっているんですが、ザラ隊長が何時になく強硬に降下ポッドでの降下を主張していまして」
「何でそんな事言うのよ?」
「さあ? ザラ隊長は「嫌だ、絶対に落ちる、燃え尽きる、欠陥がある、故障するに決まってる。俺は絶対にあんなMSで単独大気圏突入はしないぞぉ!」と作戦会議で大騒ぎしていて、司令が押し切られたんですよ」
「あんなMSって、最新技術を惜しみなく投入したザフトの誇りを何だと思ってるんだか」

 ジャスティスをあんなMS呼ばわりするアスランにセンカは気分を害したようだ。フィリスはアスランを良く知っているだけにアスランが臆病ゆえにこんな事を言ったわけではないと思うのだが、何かあの機体にはあるのだろうか。もしかしたら核動力炉を信じていないのかもしれない。

 この時アスランは既にジャスティスに乗り込んでおり、降下をじっと待っていた。通信機からは地上からの戦況が伝えられており、友軍は苦戦しながらもどうにかマスドライバーの近くまで攻め入っているのが伺える。
 だが、アスランが求めている情報はそんな物ではなかった。マスドライバーなどイザークたちに任せておけば良いのだ。このジャスティスが戦うべき相手はただ1つ、キラの持ち去ったフリーダムである。

「出て来いキラ、お前を倒すのは俺だ」

 フリーダムに対抗できる機体はザフトにはこのジャスティスしかない。アラスカを見る限りキラはフリーダムを持って連合に戻ったはずであり、パナマが危ないとなれば必ず投入されるはずなのだ。
 フリーダム強奪の一件は、キラを仕留められなかった自分にも責任がある。なんとしても自分でフリーダムを仕留めて、プラントで待つ父を安心させてやらなくてはいけない。NJCのデータが漏れた可能性もあるが、講和を結べれば余り恐れる必要は無い。地球もプラントもこれだけの被害を出しているのだから、一度戦争を終わらせてしまえば直ぐに再開するのは難しい。
 そんな事を考えていると、同じ降下ポッドにあるゲイツに乗り込んだフィリスが声をかけてきた。

「ザラ隊長、降下30秒前ですよ!」
「ああ、分かってる。いよいよだなフィリス」
「はい、ジュール隊長たちも無事だと良いんですけど」
「あいつらは殺しても死なないさ。心配は無い」

 心配そうなフィリスに、アスランは全く心配していないという事を態度で示して見せた。その声には微塵も不安が感じられない。

「随分自信があるんですね」
「イザークの実力は俺も良く知ってるからな。あいつを落とせるような奴はそうそう居ないさ。ザフトにも何人居るか」
「……何時も喧嘩してるくせに、ジュール隊長の事をとても信頼してるんですね。ちょっと意外です」
「信頼してない奴に後を任せたりはしないさ。

 まあ、馬鹿なのが玉に瑕だけどなと笑って付け加えて、アスランは降下の衝撃に備えるべく体を深くシートに預けた。フィリスも同じように深く座り直したが、内心ではちょっとアスランに嫉妬してしまっていた。

「なんだか、ちょっと悔しいですね。付き合いでなら副官をやってる私の方が長い筈なのに」

 自分よりイザークを理解しているようなアスランの言葉に、フィリスは少し複雑なものを抱えてしまっていた。それが何なのかフィリスも自覚はしていたのだが、まだ表に出す気にはならない。ただ、自分がラクスを裏切ってこちら側に残る事にした理由の1つであるのは確かだ。



 そして、遂に降下ポッドは地球に降下を開始した。重力に引かれて落ちていく感覚があり、体の中のものが全て上に押し上げられる感触に吐き気がしてくる。
 そして表示が大気圏を突破し、成層圏に入った事を教えてくれる。あとはこのまま自動で降下ポッドが分解するので、それと同時に降下用パラシュートを開けばよいのだ。

「フィリス、降下まであと15秒だ。パラシュートタイミングを間違えるなよ!」
「はい!」
「俺は先に行く!」

 その言葉と同時に降下ポッドが分解し、パナマの緑に覆われた大地が見える。その美しさにフィリスは一瞬目を奪われたが、直ぐに我に返るとパラシュートを展開させた。その途端に物凄い衝撃が来て、降下速度が一気に下がる。ゲイツは空を飛べないのでこうやって降下するしかないのだ。
 だが、ジャスティスは違う。ジャスティスは背中の飛行ユニットを起動すると、それに乗って戦場へと降下して行ってしまった。

 そして、降下していくMSの中にはユーレクのディンの姿もあった。フリーダムに大破させられた機体であったが、きちんと修復しているようだ。しかし、ユーレクには何時もの覇気が感じられず、なんだかやる気が無さそうにさえ見える。どうやらキラに負けて以降、本当に何かが折れてしまったらしい。






 パナマにやってきたフラガとキース、トールは潜水艦隊の上空を守るザフト空中部隊と遭遇し、厄介な乱戦に巻き込まれてしまうかと思われたのだが、ここでザフトは初めて遭遇した連合の新型MSの威力を思い知らされる事になった。

「このクライシスを、ダガーと一緒にするなよ!」

 フラガは迫るディンの大群めがけてミサイルコンテナから12発のミサイルを発射し、これを叩き落しにかかった。これを見たディンは特に警戒もしていなかった。ホーミングの甘いミサイルなど、一目標に多数を纏めて撃ち込まなければなかなか当たるものではない。こんなNJ登場以前の1機に1発のミサイルを割り振る戦術は、もう過去のものとなている、筈であった。
 彼らが自分たちの常識もまた過去のものとなりつつある事に気付いたのは、そのミサイルが自分達を正確に狙って動いている事を悟った時だった。そして、その頃には既にミサイルは回避不可能な距離にまで近付いていたのだ。
 空に12の爆発が生まれ、一瞬にして12機のディンを落とされたザフトの防空網は巨大な穴が開いた状態となってしまう。3機はその穴に飛び込み、驚いているのか動きが鈍い他のディンを撃ち落しながらパナマ基地上空に達しようとしていた。パナマ上空では多数の戦闘機とディンが空中戦を繰り広げており、制空権は確立していない状態となっているらしい。
 この混戦を目の当たりにしたキースはフラガとトールに地上は任せると言い、自らはこの乱戦に加わるべく急上昇を開始した。そしてフラガとトールは敵の抵抗を実力で排除しながら地上へと向っていく。
 地上の戦いは既に海岸から内陸へと押し込まれており、橋頭堡を完成されてしまっている。ここに居たザウートがなんと対空砲火を放ってきたのを見たフラガは慌ててジャングルへと降下して行き、味方のMS隊と合流しようとした。
 だが、その時クライシスのレーダーが高高度から急降下してくる物体多数を捕捉し、何かとフラガはカメラをそちらに向けて拡大させ、見つけた物体を照合して顔を顰めた。それはザフトの降下ポッドだったのだ。

「援軍、かよ。厄介な」

 ただでさえ追い込まれているというのに、とフラガは事態の困難さに暗鬱な気持ちにさせられたが、それでも体は敵機の接近警報に素早く反応し、近付いてきたゲイツにビームを叩き込んで破壊してしまう。

「トール、とにかく味方と合流するぞ。パナマ基地へ向え!」
「でも少佐、こいつら後から後から湧いてきますよ!」

 木々の間から湧き出てくるザフトMSの数にトールが悲鳴を上げる。距離が近すぎるせいで銃器よりも重斬刀やビームサーベルを構える機体までが居る。トールは接敵距離がゼロ距離という初めての環境に戸惑い、冷静さを欠いているようだ。
 フラガは更に2機のジンを仕留め、ストライクの肩を掴んで揺さぶった。

「トール、これ以上ここに居ても弾とエネルギーを失うだけだ。ジャングルの直ぐ上を超低空飛行して味方の戦線に行く。増槽と予備電源を捨てて付いて来い!」
「は、はい!」

 フラガのクライシスがジャングルから飛び上がり、ついでトールのストライクも飛び上がってジャングルの上を全速で飛んでいく。地上部隊もこんな低空を高速飛行されると照準を付けることが出来ず、一瞬で頭上を駆け抜けていく2機のMSに悔しそうに舌打ちする事くらいしか出来なかった。
 ただ、連合部隊とザフトの激突している最前線にはこのトールのストライクを見た事のある部隊が居た事が、2人にとって不運であったかもしれない。フラガとトールは味方の部隊に合流できると安堵したのも束の間、ザフト部隊の中にデュエルとバスターを見つけて何とも嫌そうな声を出したのだ。

「おいおい、またあいつ等がいるぞ」
「なんで俺たちの行く先々に居るんでしょうね?」
「知るかよ。ひょっとしたら、俺たちのファンなのかもよ」
「こういうのはファンじゃなくて、悪質なストーカーだと思いますよ」

 何処に行っても出てくるこの腐れ縁としか言いようの無い部隊を見つけたフラガとトールはもうウンザリという感じであったが、次の瞬間フラガはクライシスを突然右に流した。どうしたのかとトールが疑問に思う間も無くフラガが居た場所をビームが貫いていき、トールも驚いて回避運動に入る。

「な、何だ!?」
「トール、上だ!」

 フラガの警告を受けて上空を見上げてみれば、見た事も無い赤いMSがグゥルのような物に乗ってこちらに接近してきている。それはどこかイージスを連想させる姿であったが、フラガもトールもこんな機体は知らない。

「何だこいつは、Gの新型か?」
「でも、見た事ないですよこんなの!?」

 フラガとトールが新手の出現に驚いていたが、ジャスティスに乗っていたアスランも先ほどの射撃を回避して見せた連合の新型に驚いていた。必中を期して放った一撃であったのに、まさか回避されるとは。

「何故あのタイミングで躱される。あのパイロットは気付いてたのか?」

 まさか常人には理解できない第六感のようなもので感づいた、などとは想像できる筈もなく、アスランはこの敵がこっちに気付いていたのだと結論付けた。もっとも、このような能力はベテランのパイロットには稀に見られる能力であるらしく、空間認識能力を持たない者であっても「殺気を感じた」「気配を感じた」などという事は良くある様だ。

 そしてフラガもまた、この新型がこれまでのザフトMSとは何かが違うという事を敏感に感じ取っていた。理由は説明できなかったが、こいつはヤバイと感じていたのだ。

「トールは地上の友軍と合流しろ。こいつの相手は俺がする!」
「少佐、1人じゃ危険ですよ!」
「お前じゃ無理だ。こいつは多分、桁外れに強い!」

 介入しようとするトールを無理に地上に行かせて、フラガはヘルメットのバイザーを開けて額の汗を脱ぐった。

「さあ、勝負といこうか、ザフトの新型!」

 空中で戦闘体制を取るクライシス、それを見てアスランもビームライフルとシールドを構えた。まさか、こんなところでフリーダム以外の敵とぶつかる事になるとは、夢にも思っていなかったのだが。


 そして地上に降りようとしたトールは、こちらの陣地に突入してきていたゲイツめがけて急降下をかけた。トールは知らなかったが、それはシホであった。シホはこの急降下してくるストライクに直ぐに気が付いて迎撃しようとしたが、ストライクは武器を抜く事もせず加速度のままにゲイツを踏みつけてきた。

「きゃああああああっ!!」

 凄まじい衝撃にシホが悲鳴を上げた。そしてシホのゲイツは踏みつけられた頭部が破壊され、片足が圧し折れて無様に地面に横倒しになってしまう。それを見たイザークが慌ててシホに通信を繋ごうとしたが、通信は繋がらなかった。

「くそっ、まさか死んだんじゃないだろうな!?」
「隊長、私がシホさんのゲイツを確保します。隊長はあのストライクを!」

 エルフィがシホのゲイツへと向う。それを見てイザークはストライクへと向ったが、直ぐにその機体が見覚えがあることに気付いた。G型はD型以前のストライクとは微妙に違う部分が多いので、気をつけていれば区別が付く。

「こいつはまさか、足付きを守ってたストライクか!?」
「デュエル、また性懲りも無く!」

 いい加減ウンザリした感じで言うトールであったが、内心では今度こそ落としてやるという意気込みに燃えてもいた。そろそろ決着を付けてしまいたいのだろう。






 このパナマの激戦は周囲にも伝わり、民間船は急いで退避にかかった。キラの乗っているジャンク船も例外ではなく、面倒はごめんだとばかりに進路を変更している。だがそれを知ったキラは血相を変えて艦橋に駆け込んで、舵を握っている船長に嘆願しようとした。

「船長!」
「……誰が持ち場を離れて良いと言った?」

 舵を握っていた巨漢が半身をキラの方へと向け、その鋭すぎる眼光をキラへと向ける。その視線に射竦められたキラは一瞬で腰が砕けそうになったが、それを必死に堪えて船長に自分を行かせてくれと頼んだ。

「お願いです船長、パナマに行かせて下さい!」
「パナマにだと……?」

 何を言ってるんだという目でキラを見る船長。その時、駆けつけてきた船員がよって集ってキラに飛び掛り、キラを床に引き倒してしまった。

「すいません船長、こいつ、いきなり持ち場から飛び出しやがって!」

 船員は怒りに顔色を赤くしながらキラを押さえつけている。キラは抵抗して抜け出そうとしていたが、流石に屈強な男が複数で押さえ込んでいるのでどうにもならない。
 しかし、抵抗するキラを殴りつけようとした船員の手を、巨大な手が握って止めてしまった。それを見て船員たちが驚く。

「せ、船長、どうして!?」
「……離してやれ」

 ギロリと睨まれた船員達が一瞬で顔色を青褪めさせ、慌ててキラの体から離れてしまう。自由になったキラは体を起こして船長を見上げ、礼を言おうとしたのだが、それより早く船長に質問をぶつけられた。

「小僧、どうしてパナマに行きてぇんだ?」
「そ、それは……」
「それは?」

 船長から放たれる威圧感が増す。それを受けたキラは強烈なプレッシャーに崩れそうになる膝を気力だけで支えながら船長の問いに答えた。

「僕は、大西洋連邦の軍人なんです。今は訳があってこんな所に居るけど、あそこには仲間が居るんです!」
「小僧、手前は軍人だったのか……」
「黙っていた事は謝ります。僕はここからパナマに行きますから、船は急いで退避してください」

 キラはこの船を巻き込むつもりは無かった。これは自分の我侭で、この船は自分を拾ってくれただけなのだから。だが、船長はそんなキラをいきなり殴りつけてきた。物凄い音を立ててキラが吹っ飛び、通路に置いてある箱などを粉砕して転がっていく。

「な、何を……!」

 ぶん殴られた頬を押さえてキラは立ち上がろうとしたが、その眼前には既に船長の巨体が聳え立っており、キラを悠然と見下ろしていた。その姿にキラの反骨精神が一瞬で胡散霧消してしまう。
 そんなキラに、船長は1つだけ質問をしてきた。

「小僧、手前のMSには弾がねえ。それでも行くってのか?」
「……は、はい」
「そうか……」

 それだけ聞くと、船長はキラに背を向けて部下たちに号令を発した。

「野郎共、小僧のMSを出せるようにしておけ。予備の火器と、推進剤を満タンにするのを忘れるなっ!」
「な、まさか、出すんですかい!?」

 船員達が驚くが、この船長は冗談など言わない。もたもたしてると自分達が殺されかねない事を知っている船員たちは急いでデッキへと戻り、その後を船長が歩いて追って行く。それを見ていたキラがどうして補給までしてくれるのかと聞くと、船長はギロリとキラを睨んできた。

「パナマから南南西に500キロほど行ったところにマルペロ島って島がある。そこで明日の朝まで待っていてやる」
「な、何故?」
「……男には譲っちゃならねえ時がある。仲間を助けに行くってのは、そういう時だ」

 キラの仲間を助けに行くという目的が、船長の中にある何かを動かしたらしかった。船のデッキが開き、中に収められているフリーダムがエレベーターで船倉から上げられてくる。機体には船員が取り付いており、簡単な調整と補給を行ってくれていた。
 そして船員の1人が船長の所に駆けて来て、とりあえず出せるようにしたと報告してきた。

「推進剤は満タン、予備に重突撃機銃をシールド裏に固定、頭部の76mmだけはザフトの一般弾薬と規格があったんで込めときやしたが、他は一会戦持ちませんぜ」
「かまわねえよ」

 船長は部下の報告を聞き終えると、キラに顔を向けた。

「出来る事はしてやった。行けい、戦場へっ!」
「は、はい!」

 船長に気合を入れられたキラはパイロットスーツを着こんでフリーダムのコクピットに駆けていった。そしてコクピットにはいる所で仲間の船員に肩を叩かれる。

「ちゃんと帰って来いよ。お前がいなくなるとデッキ掃除する奴が減るからな」
「ははは、分かってますよ!」

 仲間の激励を受けてキラはコクピットに入り、フリーダムを起動させた。そして船員立ちに離れるように言い、スラスターをゆっくりと吹かせて機体を上昇させ、一気にパナマへと向けて加速させた。目指すはザフトと連合の最終決戦の地、パナマだ。




機体解説

GAT−X403 クライシス
兵装  ビームライフル
    ビームサーベル×2
    頭部40mmバルカン×2
    バックパック換装システム
    ABシールド
<解説>
 ストライクの後継機と呼べる機体。既存機の集大成的なMSで、バックパック換装システムを持っているが、これ無しでも高い戦闘能力を持っている。ストライクとは異なり、ビームサーベルは腰に2本装備するというタイプに変更された。また、フォビドゥンのようにオプション無しで飛行が可能。パイロットはナチュラルを想定されている。
 装甲はTP装甲ではなく、105ダガーなどに見られるラミネート装甲の改良型が使われており、対ビーム防御力が大幅に向上されている。反面実弾防御はTP装甲装備の兄弟機に劣る。これはザフトもビーム兵器装備機を投入してくるようになった為の変更であった。
 カラミティ等の兄弟機と同様、クライシスも少数が生産されており、テストを兼ねて前線のパイロットに供給されているが、試作機の為操縦性能が悪く、使いこなせるパイロットは少ない。



後書き

ジム改 いよいよパナマ戦開始。
カガリ エース大集合?
ジム改 そうとも言う。
カガリ こんな状況でグングニ−ルを投下できるのか?
ジム改 出来ないかもな。まあ、目的はマスドライバーの破壊だから、別にあれ無しでも出来るわけだが。
カガリ どうやって。あれって凄く頑丈なんだろ?
ジム改 アーバレストで支柱を破壊すればいい。
カガリ アーバレスト?
ジム改 ルナマリアが大好きな長砲身レールガン。一撃でAA級の装甲さえぶち抜ける。
カガリ そういやそんな物もあったな。
ジム改 実はこれ、当たればどんな装甲もぶち抜けるんだよなあ。
カガリ 幾ら凄くても、あんな使いにくそうなもん、当たるのか?
ジム改 あれを地上で移動目標に撃ったら馬鹿と言われるだろうな。
カガリ でもルナマリアは撃つんだな。
ジム改 撃たねばなるまい。それが彼女の仕事だ。
カガリ それが仕事というのも可哀想な話だけどな。
ジム改 それでは次回、連合の奮闘も空しく、ザフトは少しずつ占領地域を拡大していく。そして遂に空から破滅の槍が投擲された。強力なEMPが連合を壊滅させ、残存部隊は撤退を開始するが、支払った犠牲の多さはザフトを復讐へと駆り立てようとする。しかし……、次回「破滅の序曲へ」でお会いしましょう。
カガリ ……こんな事して、収拾つくのか?
ラクス 御心配には及びませんわ、その為の私です。
ジム改 まあ、そろそろ君の出番なんだけどね。

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