フォノイコライザ 改造編 (2009.1.8)(2009.2.15追記)
 夏休みにFさんのプリアンプを制作して以来、自宅用のフォノイコライザもラインアンプを組み込んでグレードアップをしたいと考えるようになしました。使用する機器の種類が増え、入力は6種類選択できるように併せて改造しました。電源部は以前のものを用いて改良し、アンプ部は同じ寸法のシャーシを新たに製作しました。部品は少しずづ買い集めていたのですが、なかなか時間が取れなかったので、正月休みに一気に製作しました。

回路
 フォノイコライザの部分はぺるけさんのウェブサイトに掲載されているものをそのまま使わせていただいています。ラインアンプ部の利得はiPodを十分に増幅できるよう、10倍程度としました。回路は、12AU7を使用した2段増幅回路ですが、そんなに利得は必要ないので、プレート負荷抵抗を低めにとって回路インピーダンスを下げるとともに、2段目の真空管にはP-G帰還を設けました。出力レベルの低いiPodを基準にしたので、スイッチを切り替えた際に音量に大きな差が出ないよう、チューナーやCDなどレベルの高い出力の入力には抵抗を入れて音量を調節しています。
 フォノイコライザの使用頻度はそんなに高くないので、使用しない場合には12AX7のヒータ電源をOFFにできるよう、ヒータは別系統とし、スイッチでヒータをOFFにできるよう工夫をしました。フォノイコライザをONするとヒータ電流が2倍に増加するため、ヒータ電源のリプルフィルタの一部をスイッチに連動させて切り替え、ヒータ電圧を一定に保つ工夫をしています。切り替える抵抗の値は、電流の増加に伴い整流直後の電圧が下がることから単純な計算では抵抗値が決められなかったため、カットアンドトライで抵抗値を決めました。
 フォノイコライザのON-OFFに伴い、B電源の電流も変化しますが、ラインアンプ部の消費電流が12.6mAなのに対してフォノイコライザの消費電流は2mA程度であるため、この分によるB電圧の変化は許容しました。(実測値で3%程度の変化でした)。

回路図(増幅部)    回路図(電源部)

シャーシの設計

 2階建構造のメリットを生かし、フロントパネルと電源部は既存のシャーシをそのまま活用を流用しましたが、2階部分の増幅部については、新規にシャーシを作成しました。今回は真空管の間に平ラグを配置する形式としたため、真空管の間隔を少し広げる必要があり前回のデザインが踏襲できませんでした。このままではフロントパネルの後ろがさみしいので、真空管部分を覆うカバーを製作する予定です。

カバー完成(2009.2.15)
 再びIさんの折り機を借用して、真空管部分のカバーを完成させることができました。フロントパネルがペラペラに見えていた部分を覆うことができ、商店街の看板建築のような情けなさは解消できましたが、真空管が見えないのは少しさみしくなりました。実用上はレコードクリーナやiPodなどを上に置くことができるようになり、大変便利になりました。


完成後の測定
 ラインアンプ部の周波数特性を測定しました。高域が-3dBで200MHz程度まで伸びており十分な特性が確保できました。10Hzでは、-3.4dBの減衰が見られますが、これは出力部のコンデンサを少し小さめにしてあることが影響しています。0.66μFと負荷抵抗の50kΩで構成されるローカットフィルタで計算するとほぼ数値が合います。レコードプレイヤーからの超低域信号を減衰させることの考慮し、この程度としました。

 出力対歪特性です。通常使用する最大レベルと考えられる2Vで、ほぼ0.1%程度であるので、聴覚上歪を感じることはないと考えられます。20V以上の出力でもクリップしないのは真空管方式ならではの特徴かもしれません。Fさんのプリアンプのラインアンプ部に近い回路なのでほぼ同じような特性となりました。

 フォノイコライザのRIAA偏差を測定しました。ラインアンプ部の出力で測定しています。


 お正月のうちに完成できたので、じっくりとレコードを試聴することができました。B電源、ヒータ電源ともに十分な容量のコンデンサを使用しているため、phono入力でボリウムを最大にしても「サー」というノイズは聞こえるものの、ハム音は聞こえません。ゲインも十分にあります。入力にiPodも使用できるようになったので、iPod用のオーディオ接続コードを使用して家族がそれぞれのiPodを接続して使えるようになりました。
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