第59章  マドラスの危機



 キラたちがマドラスを去った後、マドラスはまだ平穏を保っていた。精鋭部隊を欠いたとは言え、マドラスに敵の大軍がやってくる可能性は皆無であり、その駐留部隊は十分な戦力を維持している。
 ゆえにマドラスの守備隊は油断していたと言えた。攻撃されても精々何時もの定期便程度、この基地に真っ向から挑んでくるような馬鹿がいる筈が無い。そう思っていたのだ。
 そう、この日までは。

 


 

 その戦いはミサイル攻撃によって始まった。NJの妨害があるとはいえ、基地に備え付けの大型レーダーサイトならそれなりの探知が可能となる。そのレーダーが敵のミサイル郡を捉えたのだ。その数24。これまでの攻撃に較べるとかなり数が多い。飛来したミサイルは迎撃ミサイルによって数を半減させたが、残る12が基地上空に飛来し、なんと無数の子弾を降らせてきた。これまでがただの巡航ミサイルであったのに対し、今回はクラスター弾を使用しているらしい。
 このクラスター弾頭で荒ごなしに基地施設を叩かれたマドラスでは急いで戦闘機が空に上がり、MS部隊が格納庫から姿を現しだしている。だが、それが終わるよりも早く第2波が飛来して来た。
 今度のミサイル群は迎撃ミサイルの迎撃が間に合わなかったが、変わりに航空隊がこれを迎撃して多くを叩き落すことに成功した。だが全てを防ぐことは出来ず、また多くの子弾が基地と市街地に降り注いでしまった。

 

 

 格納庫に居たフレイは周囲で慌てふためいている新人パイロットにとにかくMSに乗るよう指示を出し、自らも自分の105ダガーに乗り込んだ。昇降機の近くにはセランがいて、フレイの姿を見つけると近寄ってきて状況を教えてくれた。

「少尉、敵はまだミサイルだけですが、攻撃の規模からすると潜水艦が複数いると見られるそうです。レーダーも接近してくるMSか戦闘機サイズの物体を複数捕らえていますので、MS戦が起きる可能性があります」
「いきなりですね。少佐たちが居ないから勝てると思ったのかしら?」
「さあ、それはなんとも。でも、こっちには戦えるだけの強さがあるパイロットは片手で数えるくらいですから、気を付けて下さい。あと、海軍の方は緊急出航できないようです」
「分かりました。それじゃ、行ってきます」

 ピシッと敬礼をしてフレイは昇降機を上昇させ、コクピットに入った。そして急いで機体を起動し、シールドを左腕にマウントさせる。

「武器は、ビームライフルは威力がありすぎるわよね」

 流石にあれは味方の基地で使うのは気が引ける。流れ弾で射線を薙ぎ払ってしまうような代物なのだ。あれを装備するのは不味いと思ったフレイは、ビームライフルではなく予備武装である75mmマシンガンを装備させた。もともとジンの76mm重突撃機銃に対抗する目的で開発された火砲だが、連合MSは最初からビームライフル装備なので余り使う者はいない。だが、ビームなどのエネルギー兵器に対して、実体弾による運動エネルギー兵器が劣っている訳ではない。運動エネルギー兵器は装甲でしか防げないので、ビームより有利な場合もあるのだ。
 機体を格納庫から出したフレイは戦術モニターに周囲の状況を映し出した。既に敵機はマドラスの近くに達しているらしく、味方を示す光点が敵機と激しく交差している。もっとも、乗っているのはフラガやキースではないので、MS相手に何処までやれるかは疑問だが。
 そう遠くないうちにここまでくると判断したフレイは、指示を貰おうとマドラスの司令部に通信を繋いだ。少し待って、やや荒い映像がサブモニターに現れる。

「こちら、アークエンジェル隊、フレイ・アルスター少尉です。どうすれば良いか、指示を下さい」
「少し待って下さい。現在他の部隊も混乱中でっ、ちょ、ちょっと!」

 スクリーンの中のオペレーターがいきなり押し退けられ、横から何故かマリューが顔を出してきた。

「フレイさん、良かった、無事だったわね」
「か、艦長、何でそこに?」
「用事があって来てたのよ。それより、フレイさんはマドラスMS部隊の指揮に従って頂戴。アークエンジェルからは指揮が出来ないわ」
「どうしてですか。ナタルさんは?」
「ナタルもこっちに居るのよ。今向こうに残ってるのはノイマン中尉が最上位よ。でも、彼は航海課だから艦の指揮が出来ないのよね」
「じゃあ、アークエンジェルは出れない?」
「そういう事。幹部将校無しじゃ艦は動かせないから。せめて少しでも教育受けた人が乗ってれば良かったんだけど」

 アークエンジェルにはマリューとナタルしか艦が指揮できる人間はいない。マリューは実戦の中でナタルにしごかれて間を動かせるようになったと言えるが、この2人しか人材がいないのだから仕方が無い。艦を指揮するというのはかなり大変な仕事なのだ。そんな専門教育を受けてるような人間がゴロゴロしている筈も無い。
 だが、フレイはアークエンジェルに付け焼刃でもそういう教育を受けている人間がいる事を知っていた。軍人ではないけど。

「あの、艦長、カガリはどうですか?」
「カガリさん、どういうことよ?」
「カガリは私と一緒にナタルさんにしごかれてましたから。その時にアークエンジェルの戦闘指揮も教えてもらってたんです」
「駄目よ。カガリさんは軍人じゃないから」

 フレイの提案をマリューは一蹴した。幾らなんでも何処の馬の骨とも知れないゲリラの少女に戦艦の指揮権を渡すわけにはいかない。フレイもそう言われてはそれ以上反論することも出来ないので仕方なく通信回線を何時ものアークエンジェルからマドラス管制に切り替えようとしたが、そこに別の声が割り込んできた。

「カガリさんにアークエンジェルの指揮ですか。任せても良いんですけど、彼女にその覚悟がありますかねえ?」
「……ア、アズラエル……理事」
「思い出したように理事なんて付けなくて良いですよ。アルスターさんのお嬢さんともなれば、私にとっても他人じゃないですからねえ。無理せず、もっとフランクに呼んでくれて良いですよ」

 何時になくフレンドリーな態度で接しているアズラエル。前に苛めたことでキースとサザーランドに散々文句言われて、少しは反省したらしい。
 だが、それを聞いたフレイはとんでもない呼び方をしてくれた。

「じゃあ……アズラエル……おじさん?」
「……は、ははは、OK、分かりました。それで話を戻しますが、カガリさんに指揮を任せてもまだアークエンジェルがまだ改装中で、どうせドックから出せないんですよね。だからアークエンジェルは動けないんですよ」
「そうなんですか、知りませんでした」
「そういうわけなんで、貴女は敵機の迎撃に専念してください。ああ、居残り部隊には指揮経験者が1人もいませんから、フレイさんに第2中隊を任せますよ」
「え、ちょ、そんな無茶な!」
「実戦経験者豊富なのは貴女だけなんですよ。頑張ってくださいね」

 それだけ言って一方的に通信を切った後、アズラエルはそれまでの笑顔をピクピクと引き攣らせた。

「……おじさん……ふ、ふふふふ、僕はおじさんですか?」

 フレイにおじさんと言われたのが余程ショックであったらしい。そのやりとりを近くで聞いていたマリューやナタル、サザーランドや基地の職員達は笑いを堪えるのにかなり必死になっていた。




 

 一方、アズラエルに一方的に指揮を押し付けられたフレイはどうしたものかと途方に暮れてしまっていた。部隊の指揮などしたことは無いのだ。確かにナタルに教えてもらってはいたが、それを実戦で使った事などは無い。

「どうすれば良いのよ、私は」

 コクピットの中でなければ頭を抱えて逃げ出したい気分だったが、そんな事が出来る筈も無い。それに、アズラエルの命令はともかく、アルフレットには後を頼むと言われてるし、セランたちの期待にも答えないとという気負いくらいはある。
 そんな事を考えていると、フレイの近くに10機を超すダガーが集ってきた。いずれもまだ訓練途上のパイロット達であり、みんな不安そうな表情をしている。

「フ、フレイ、俺たちはどうすれば良いんだ?」
「アルフレット少佐たちがいないのに、俺たちだけで戦えるのかよ?」
「え、ええと、ちょっと待ってね、今考えるから」

 集ってきたパイロットの不安げな視線に耐えられなくなって、フレイは一度全ての通信をカットしてしまった。そしてヘルメットのバイザーを開け、外の空気を大きく吸い込む。
 そして気を落ち着けた後、フレイは言い知れぬ恐怖に襲われてしまった。あんな不安に包まれ、縋るような視線に晒されなくてはならないのか、彼らの期待に答えなくてはならないというのだろうか。マリューやナタルは、フラガやキースは、みんなこんな重圧に平然と耐えていたというのだろうか。

「やだよ、こんなの。私に出来るわけ無い」

 自分はあの人たちほど強くなんか無い。何かを背負って戦うなんて出来ない。自分1人の事だって持て余してるのに、他人のことまで責任なんか持てるはずが無い。
 周囲の期待を重圧にしか感じられなかったフレイは、自分で自分を追い詰めてしまい、また泣き出しそうになってしまった。だが、その眼から涙が零れる前に、閉じていた筈の通信回線が開かれ、通信モニターにどっかで見た顔で現れた。

「おいフレイ、お前なんつう事をっ! ……て、何泣いてんだお前?」
「カ、カガリ?」
「ああ、私だが。何泣きそうになってんだお前は?」

 モニターに移るなり怒鳴りつけようとしたカガリは、何故かフレイが泣きそうになっているのを見てたちまち勢いを失ってしまった。政治家としては問題だらけだが、人間としてはカガリは良い奴なのだ。

「それがね、私、1個中隊の指揮とれって言われちゃって、もうどうして良いか分からなくなっちゃって……」
「ああ、それは大変だけど……いや、そうじゃなくてだな」
「私、指揮なんか出来ないよ。ねえカガリ、どうすれば良いと思う?」
「どうしたらと言われてもな……」

 フレイに泣きつかれてしまったカガリは渋面を作ったが、ついにガックリと肩を落とすと、何やらフルフルと頭を左右に振り出した。その仕種が妙に悲しげというか、何かを諦めたという印象を与える。それにフレイが疑問をぶつけるよりも早く、カガリがくわっと顔を上げた。

「ああもう、泣き言は全部終わってから言いやがれ!」
「カ、カガリ?」
「いいか、私はこれからアークエンジェルを指揮して何が何でもドックの外に出してやる。だからお前はMSを率いてザフトを叩きのめすんだよ!」
「で、でも、私にそんな事……」
「だから泣き言は失敗した後で聞いてやるよ。私はお前と違ってアークエンジェルの指揮を押し付けられてるんだぞ。もっと不幸だよ!」

 その場で地団太踏んだ後、足音も高く普段はマリューが座っている席に腰を降ろすカガリ。それを呆気にとられながら見ていたフレイは、恐る恐るカガリに問うた。

「あ、あの、どういうことカガリ?」
「お前が艦長たちに言ったんだろうが。おかげで見ろ、私が指揮することになっちまったんだぞ!」
「わ、私が悪いって言うの!?」
「お前以外に誰が悪いんだよ。いいか、私はお前のせいでこんな目にあってるんだ。そのお前が私より先に泣きごと言ってるんじゃない!」
「うぐ……」

 まさにその通りなので文句も言えない。それでフレイが怯んだのを見たカガリは、一気に畳み込みに出た。

「フレイ、私はアークエンジェルをなんとしても出航させるから、お前はMS隊を纏めてマドラスを守れよ。今度泣きごと言ってたらカガリ・スペシャル食らわした後でキースの特別メニューだぞ!」
「あんた、私に死ねって言ってるの!?」
「死にたくなかったら頑張りやがれ、この性悪の面倒女。いつもいつも騒動起こしやがって!」
「なによなによ、カガリだって人の事言えないじゃない!」
「んだとおっ、大体お前はなあ!」
「何よ、あんただってねえ!」

 ギャアギャアと口喧嘩を始めたカガリとフレイ。それを艦橋で聞いていたキサカたちは頭を抱えてしまっている。ただ1人、ミリアリアだけはクスクス笑っていたが。そしてミリアリアは2人の使っている回線に割り込みをかけると、喧嘩している2人の仲裁に入った。

「はいはい、フレイもカガリさんも、今は喧嘩してる場合じゃないでしょ。そういう事は戦闘が終わった後で気が済むまでやって頂戴」
「ミ、ミリィ、別に私達は喧嘩してるわけじゃ……」
「そうだ、私達は紳士的、じゃないな、淑女的に話し合ってるだけだぞ」
「……あれの何処が淑女なのよ。それじゃフレイ、こっちも忙しいから通信切るわよ」
「あ、ちょっとまっ」

 モニターからフレイの姿が掻き消えた。それを見ていた艦橋クルー達はやれやれと肩の荷が落ちたような顔をしていたが、別の通信モニターの向こうからその一部始終を見ていたアズラエルはその展開に完全に気圧されてしまっていた。

「よ、容赦ないね、君」

 アズラエルはミリアリアの一刀両断な処置にちょっと引いていたが、とりあえず気を取り直すと改めてカガリを見た。

「それで、本当にアークエンジェルを出すと?」
「ああ、出さなきゃ守りきれないだろ」
「ですが、アークエンジェルはまだ改装が終わっていません。不完全な状態で出るつもりですか?」
「銃が撃てりゃ戦力にはなるさ」

 なんとも無茶苦茶な言い分だが、アズラエルは苦笑するだけに留めた。

「まあ良いでしょ。じゃあアークエンジェルはあなたに任せますよ、カガリ・ユラ……さん」
「…………」
「戦闘後にお話したいこともあります。良いですよね?」
「ああ、分かったよ。アズラエル理事」
「大変結構。じゃあ、後は好きにしてください。ああ、必要なら多少の無茶は構いませんよ。あと、湾口のMSもあなたに任せますから。獅子の子供の実力、見せて頂きましょう」

 満足そうに笑ってアズラエルは通信モニターから消えた。それを確認してカガリは悔しそうに肘掛を殴りつけた後、ノイマンに指示を出した。

「ノイマン、アークエンジェルを出せ!」
「無理言うな。ドックのハッチは閉じたままなんだ」
「じゃあ吹き飛ばせ。ゴッドフリート用意!」
「おい、カガリ!?」
「アズラエルの許可は貰ってる。構わないから撃て!」
「りょ、了解……」

 カガリの気勢に気圧されたパルが大急ぎでゴッドフリート2基の照準を前方のハッチへと向ける。そして発射されたビームは一撃でハッチを吹き飛ばした。

「よし、アークエンジェル前進。ドックを出ると同時に全方位戦闘だ。パルは全対空兵装を起動しておけよ。ミリィは周辺の航空部隊やMSと回線を維持して、連携を保つんだ。サイは本部との回線を維持してくれ。チャンドラは戦況分析を頼む。カズィは湾口管制と連絡を付けてくれ」

 カガリの指示を受けてオペレーターたちが急いで自分の仕事を進めていく。そんな中で、ノイマンだけはカガリの指揮振りに違和感を隠せなかった。どうしてこの娘は、こんなに他人に命令し慣れているのだ?
 カガリが艦長席に腰掛けて指示を飛ばす隣では、キサカが憮然とした表情で佇んでいる。

「……良いのかカガリ。アズラエルは気付いているぞ?」
「どうせもう誤魔化すのも無理だろ。だったらいっそ、正体明かして堂々と国に帰るさ。それに……」
「それに?」
「あれだけ大見得切って、アークエンジェルを出せなかったらフレイに笑われるだろ。それだけは我慢できん」

 そっちの方が重要なのか、とキサカは呆れ果てた顔で重く深い溜息を漏らした。


 ドックから外に出たカガリはすぐに上部甲板にトールの乗ったデュエルを出し、湾口に移動させた。既に湾口にはパワーから出てきたダガーやカラミティ、更に見慣れないMSも居た。

「何だ、あの青いMS?」
「連合の新型、じゃ無さそうですね。ダガーとか言うのとは随分違いますし」

 ノイマンの疑問にサイが返したが、じゃあ何処のMSだと聞かれたら答えられない。その答えは司令部から転送されてきたデータでやっと判明する事になる。
 ミリアリアが司令部から送られてきた戦術データを急いで処理し、サブスクリーンに表示する。

「アークエンジェルの指揮下に暫定的にはいる部隊の一覧みたいよ。パワーのMSもこっちが使って良いみたい」
「あの青いMS、ブルーフレームって言うのか。傭兵なんだな」

 ミリアリアが表示したデータの説明を始め、サイが機体の名前が判明したことに少し嬉しそうにしている。だが、キサカは苦みばしった顔をしていた。あの機体の正体を知っているキサカとしては、事態はますます面白くない方向に転がっているからだ。

『何故プロトタイプがこんな所にある。あれの素性を知られれば、オーブが連合に加担していると言われても誤魔化しは不可能になるぞ』

 アストレイ・ブルーフレームはオーブが現在量産を進めている主力MS、M1の試作機の1つで、拡張性の高さが特徴だ。てっきりヘリオポリス崩壊と主に失われたと思っていたのに、まさか生き残っていたどころか、傭兵部隊の手に渡っていたとは。
 GAT系列機の技術の盗用品であるプロトアストレイの存在は、今となってはオーブの癌でしかない。ザフトにその存在を知られれば連合との繋がりをまた叩かれるだろうし、大西洋連邦に知られれば技術盗用を責められるだろう。
 連合に協力したのはサハク家であってオーブの現在の支配者であるアスハ家ではないのだが、そんな事は理由にはならないのだ。しかも更に困ったことにキサカの軍人としての部分はウズミの主張よりもサハク家の双子の方が現実を見ていると認めている。この2人の独断の暴走がヘリオポリスの悲劇を呼んだのだが、この2人が居なければM1は生まれなかったのだ。しかも関わったのはOSだけで、ごく短期間である。流石の双子もまさか外交折衝無しでいきなりコロニーを襲われるとは考えなかったのだろう。
 この戦いの後で行われるだろうアズラエルとの会談で何が話し合われるのか、キサカにはそれがオーブの命運に関わるのではないかとの漠然とした予感があった。だが、それにカガリがどういう答えを返すのかはまるで予想が付かない。この艦に乗って以来、色々な意味でカガリも変わってしまったからだ。




 

 一方、カガリとの通信を切ったアズラエルは困った顔で右手を顎に当てて何かを考え込んでいる。その隣に来たサザーランドがどうかしたのかと問い掛けると、アズラエルは顎に手を当てた姿勢のままでサザーランドに答えた。

「アルスターのお嬢さんとカガリさん、どちらも今失うのは不味いんですよね。これからの事を考えると2人にはまだまだ利用価値があります」
「はあ、それで、どうなさると?」
「実戦データを取る目的で連れてきた玩具があったでしょう。あれをお嬢さんの援護に出してください。それと、オルガ君に湾口の防御を命じてください」
「カラミティはともかく、ロングダガーを出すと仰いますか?」
「折角大金積み上げて作ったんだ。それを使いもせずに始末するのもどうかと思うしね。ここで使えるかどうかのテストをさせてもらうとしようよ」



 


 カガリとの口喧嘩をミリアリアに強制的に中断させられたフレイは暫し呆気にとられていたが、いつの間にかさっきまでの重圧がすっかり無くなっていることに気付き、おかしくなってしまった。たったあれだけのやりとりでこうも気が軽くなる物なのだろうか。

「……やってやるわよ。カガリに笑われるのだけは我慢できないし」

 気を持ち直したフレイはようやく閉じていた回線を開き、集まっているダガー部隊に指示を出した。

「港の方はアークエンジェルに任せましょう。私達は基地の守りを固めるわ。ディンがくると思うから、それを落として!」
「で、でも、撃って当たるかな?」
「下手な鉄砲も数撃てば当たるわよ。小隊単位で1機をひたすらに撃ちまくって」
「でも、それだと敵の数が多すぎるぞ?」

 ディンだけでも確認されている数で6機だ。これに後続がどれほど来るか想像も出来ない状況では、基地に残っているMSが小隊単位で動いては戦力不足になる。でも、これに対してはフレイが物凄くきつい事を言って黙らせてしまった。

「貴方たち、1人でザフトと戦えると思ってる訳?」
「そ、それは……」
「絶対に無理よ。デュエルみたいにフェイズシフト装甲でも持ってれば何とかなるかもしれないけど、ダガーで貴方たちが1人で戦うのは無理」

 このフレイの言葉に反感を感じた者は多かったが、実際に一対一で勝てると思っている者もいなかったので、フレイに誰も言い返せなかった。反対者が出ないのを見てフレイはアドバイスを始めた。

「とにかく敵を近付かせないで。ビームライフルならどんなザフトMSも倒せるから、落ち着いて射撃戦をするの。格闘戦に持ち込まれたら技量と経験の差がまともに出るわ」
「そう上手く行くかな?」
「その為に3機がかりなんでしょう。3機でビームを撃ちまくればそうそう近付いてなんてこないわよ」

 ほとんど移動砲台みたいな運用法だが、これが初陣で訓練も足りてないパイロットに高速機動戦をやるのは無理なので、他にやりようがないのだ。
 だが、この時マドラスに侵入してきたのは、フレイの想像を遙かに超えた戦力であった。マドラスのレーダーサイトがディンとラプター部隊に続いて接近してくる複数の反応を捉え、更に宇宙軍の報告でインドへの降下軌道にザフト艦隊が侵入してきたことも知らされたのだ。これらの情報から、マドラス司令部はこの攻撃が単なる嫌がらせではなく、本格的な攻勢である事を認識した。
 海上から進入したグゥルとジンの部隊は制空圏の伯仲するマドラスの上空に侵入してきた。その中にはイザークのデュエルとディアッカのバスターの姿も見える。

「敵を消耗させる、か。そんなまどろっこしいことなんかしないで、さっさと攻め落とせば良いだろうに」
「イザーク、お仕事は真面目にやろうぜ」
「分かってる。流石に今度問題を起こしたら洒落にならんからな」

 今度こそモラシムに錘と一緒に海に沈められてしまう。そう思うと、今日は真面目に戦おうという気になってしまうのだ。人間、死ぬような目にあえば流石に学習するのである。
 そんな事を話している2人に、些か年を感じさせる声が割り込んできた。

「イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン。お前達は地上の湾口施設を破壊しろ。ジン4機を連れて行け」
「グリアノス隊長は?」
「私は内陸の基地施設を叩く。滑走路を使用不能に出来れば後が楽になるからな」
「……了解です」

 イザークはグリアノスの指示に頷くと、ディアッカと近くにいる4機を伴って湾口の方に降下していった。湾口ではまだ動けない海上艦艇が沢山いて、あちこちに据え付けられている湾口防御用の対空砲やミサイルランチャーが対空砲火を放ってきている。ある程度近付けばミサイルが赤外線誘導でホーミングしてくるようになるので、こういう時はミサイルが撃てない距離まで思いきって近づいた方が安全となる。
 イザークたちが降下して行ったのを見送ったグリアノスはなんとも面白く無さそうな顔で眼下に広がる基地を見下ろした。

「この作戦、あのラウ・ル・クルーゼの発案だというが、それに私が付き合わされねばならんとはな。楽しみにしていた噂のリンクス少佐とやらも移動しているというのでは、詰らん任務だ」

 グリアノスにしてみればマドラスでその名を轟かせているエースであるアルフレット・リンクスとの戦いを楽しみにしていたのであり、それ以外の雑魚など眼中になかったのだ。こうなったら基地施設を手当たり次第に破壊してクルーゼに使われているという鬱憤を晴らす以外に無い。
 だが、飛行場に近付いたグリアノスたちはそこで地上から立て続けに撃ち上げられたビームを浴びる羽目になった。腕が余程悪いのかそれらのビームは見当違いの場所を貫いていたが、まぐれ当たりが直撃しないとも限らない。

「全機、地上に降りて接近戦を挑むぞ。素人どもにプロの実力を思い知らせてやれ!」
「経験を後に繋ぐことが出来れば良いんですけどね」

 グリアノスの命令に部下がジョークで返し、彼らは一斉にグゥルを捨てて地上へと降下して行った。地上ではダガー部隊がビームを撃ちまくっていたが、このビームがまぐれ当たりで1機のジンを撃ち落すことに成功している。だが残る8機のジンは滑走路へと降下し、ダガー部隊に接近戦を挑もうとした。
 このジン部隊に対してダガー部隊はたちまち恐慌をきたし、フレイに言われたことも忘れてバラバラに逃げ始めた。それは醜態と呼ぶしかない惨状で、グリアノスでさえ唖然としてしまったほどである。

「何だこいつらは。本当に素人なのか?」
「どうします隊長?」
「さっさと全滅させてしまえ。こんな所で時間を食っている暇は無い」

 相手をする気も失せてきたグリアノスは部下に投げやりな命令を出し、ジン部隊がそれに従ってダガー部隊を相当しようと前に出た。ダガー部隊は懸命にビームを撃っているが、フレイの言ったように纏まった射撃ではないのでほとんど効果がない。逆にジンの銃突撃機銃で撃破されるダガーが続出している。だが、ダガー部隊とは少しはなれたところからいきなり銃火が飛来し、1機が全身に着弾を受けて破壊されてしまった。何事かと慌てて火線の方向を見れば、他のダガーと些か形状の異なるダガーがマシンガンとシールドを構えて立っている。

「ほう、雑魚ばかりかと思っていたが、出来る奴もいるようではないか。面白い」

 グリアノスはそのダガーを引き受けて戦おうと思った。グリアノスは知らなかったが、それはフレイの105ダガーだった。フレイは率いていたダガー部隊が碌な抵抗もできずに次々に破壊されていくのに耐えられなかった。

「私が接近戦をやるから、みんなは下がっていて!」
「無茶だ、敵は7機も居るんだぞ!」
「まともに相手はしないわよ。それより早く下がって。足手纏いよ!」

 フレイに強く言われて渋々とダガー部隊は退いて行った。実際にここにいても何も出来ないのだから。
 ダガー部隊を下がらせたことでフレイは1機で7機のジンを相手取るという無茶をする事になったが、それは余り問題とは感じていなかった。かなりトチ狂った考えであるが、これまでのアークエンジェルの戦いでは自分とキラで1人二桁以上が相手、という戦いが幾度もあったので、7機が相手ならなんとかできると思っていたのだ。
 そして、困ったことにフレイの前に立つ相手、グリアノスもこういうシチュエーションが嫌いではなかった。役にも立たない新兵を下がらせて1人でこの数を相手取ろうというフレイの態度は、グリアノスに不快感よりも愉快さを与えたのだ。

「この数を1人で相手取るつもりか。ナチュラルにも随分な馬鹿がいるようだな」

 逃げていくダガーを追おうとした部下のジンたちを制止し、周辺の基地施設の破壊を優先しろと指示を出す。それを受けて部下達が散っていったのを見て、グリアノスはフレイの105ダガーに襲い掛かった。

「さあ、早く私を倒さねば基地を失うぞ。どうする?」

 重突撃機銃と75mmマシンガンの火線が交差したのを皮切りに、両者は激しい機動を開始した。性能では105ダガーの方が圧倒的に勝っているはずなのだが、グリアノスのジンはフレイに負けない動きで機動を繰り返している。ナチュラルでは不可能なほどの激しい機動が可能だというコーディネイター特有のメリットに負う所が大きいのだろうが、それを差し引いてもグリアノスの強さは桁違いと言えた。かつて、グリアノスは覚醒が始まっていたフレイのデュエルと互角以上に戦って見せた実績があるが、当時よりも強くなった筈のフレイでも五分にしか持ち込めないという現実が全てを物語っていた。グリアノスはフレイより遙かに強いのだ。
 この機体性能をパイロットの技量で埋めるという信じ難い現実を、フレイは驚きと共に噛み締めていた。105ダガーはデュエルほどではないが、間違いなくジンより強力な機体のはずなのだ。それがこうも押さえ込まれるのだから、このジンのパイロットは自分より強いのだという事も分かる。

「でも、このままじゃ基地の人たちが危ないのよ!」

 若干の焦りを見せながらもフレイは先読みの射撃を繰り返したが、敵の動きは自分の予想を超えていた。何発かはジンを捕らえているのだが、単発がたまに当たる程度では流石にその装甲を貫くことは出来ない。
 あっという間に懐に飛び込んできて重斬刀を横薙ぎに振るってくるジン。それをシールドで受け止めながらフレイは大きく後ろに機体を飛ばせた。その間にも3連射を続けて放て見たのだが、牽制の弾等を易々と食らってくれるグリアノスでもない。
 フレイは自分が余り格闘戦に向いていないことを自覚しているので、できれば距離を詰められたくはなかった。今乗っているのはデュエルではないので、重斬刀の一撃で破壊されてしまうからだ。
 しかし、この動きはグリアノスには消極的なものに映った。距離を維持しようと後退するのは分かるが、MSの本領は接近戦にあるのだから。動き事態は良いし、反応の速さも優れているので経験豊富なパイロットだと思ったグリアノスだったのだが、どうにも判断に甘さを感じてしまう。その割には思い切りは良い。新兵とベテランが混ざっているかのようなちぐはぐさを持つ相手に戸惑いを隠しきれないでいる。

「新兵か? いや、これほどの腕でそれは有り得ん。だが、そうなるとこやつは一体?」

 頭では疑問を感じつつも体は矢継ぎ早に操作を繰り返し、相手に態勢を立て直す暇を与えずに更なる斬撃を加えていく。105ダガーは幾度かそれを回避し、あるいはシールドで受け止めていたが、遂にはシールドをジョイントごと引き千切られ、持っていかれてしまった。

「しまった!」
「…………」

 シールドを飛ばされたフレイはすぐさまビームサーベルを抜き放った。こうなった以上格闘戦を覚悟しないといけないわけだが、この素早い動きにグリアノスは突っ込むのを躊躇った。ビームサーベルに対して重斬刀は不利というのもあるが、シールドを失ったことへの対処が余りにも速かったからだ。これは間違いなく場数を踏んだベテランの動きである。
 やはりそれなりのベテランなのか? それにしては1人で7機を相手にしようとするなどという無謀な事をしようとした。他の雑魚共がこの機体がカバーに入ったら引いていったから、もしかしたら指揮官機なのかもしれないが、だとしたら余りにも愚かだ。指揮官が自分から死地に飛び込んだら、誰がその後指揮をするというのだ。
 だが、フレイの懐に再度グリアノスが飛び込んでくるよりも早く、周辺で変化が起きた。グリアノスが放ったジン1機がビームに貫かれて爆発してしまったのだ。そしてその近くにいたジン2機が驚いたように後ろに飛び退っている。

「なんだ、新手か?」

 現れたのはストライクダガーによく似た機体であった。もっとも機体色は黒と薄褐色というダーク系の塗装なので、受ける印象はまるで違っているのだが。
 この機体の登場にグリアノスたちは警戒したが、フレイも驚いていた。あんな機体は初めて見たからだ。

「何よ、あのMS。ダガーみたいだけど、格納庫にあんなMSは……」

 あれがなんなのかという疑問はあったが、とりあえず味方らしいという事は分かった。この変なMSはジン1機を落とし、2機を後退させてくれたのだから。

「ちっ、こやつ以外にもまだ出来る奴がいたのか」

 グリアノスは舌打ちすると、部下達に湾口までの後退の指示を出した。そこで迎えのグゥルに拾って貰う手筈なのだ。それに今回の襲撃はあくまで連合MSとの手合わせと、宇宙から降りて来る増援部隊の収容にある。可能なら増援部隊と呼応して戦火の拡大を図るという目標もあったのだが、それは断念したほうが良さそうだ。
 マシンガンで新手のダガーを足止めしながら部下達を下がらせ、頃合を見計らって自分も大きく後ろに跳躍したグリアノスは、最後に105ダガーに光通信で回線を繋いできた。

「貴様、聞こえるか?」
「な、なによ?」
「……この声は、あの時のデュエルのパイロットか。確か真紅の戦乙女」

 それでこれほどに強かったのかと納得したグリアノスは、さっさと用件を伝える事にした。

「腕は良いが、それだけでは部下を死なせるだけだな。次に会う時までにもう少し勉強でもしておくことだ」
「なんですってえ!」
「ははははは、威勢は良しか、結構なことだっ」

 いきり立って言い返してきたフレイにグリアノスは大笑いしながら一目散にその場から逃げ去って行った。残されたフレイはなんだか追う気力も無くしてしまい、やれやれと肩の力を抜く。そこにフレイに言われて後退していたダガーの生き残り7機と、現れた見知らぬMSが近付いてきた。
 フレイは仲間の姿が5機も減っていることに胸を痛めたが、それよりも今は礼を言う事だと思いなおして見知らぬ助っ人に通信を入れた。

「ありがとう、おかげで助かったわ」
「いえ、無事で何よりです」

 現れたのは見知らぬパイロットだった。穏やかな笑顔を浮かべているのは、本当に自分を助けられた事を喜んでいるためらしい。だけど、自分はこの人に会った事も無いので、見知らぬ他人にそこまで気遣われても疑問符しか浮かんでこない。

「あの、貴方は。MS隊にはいなかったと思うんだけど?」
「はい、僕はソキウス、イレブン・ソキウスと言います。この基地の兵ではありませんが、防衛の為に出撃しました」

 相手の名乗りにフレイは変な名前だと思ったが、それを口にしたりはしなかった。流石に人の名前を悪く言うほど非常識ではない。
 ソキウスと名乗ったパイロットはフレイの疑問など察することもなく、このまま敵を追撃しようとした。

「僕はさっきの敵を追います。貴女は一度補修に戻った方が良いです」
「だ、大丈夫よ。まだやれるわ」
「無理ですよ、外から見ると分かります」

 はっきりと言い切られてフレイは更に言い返そうとしたが、ソキウスの言葉に他のダガーのパイロット達も同調してしまったので、仕方なく格納庫に戻ることにした。

「分かったわ。だけど、みんなも気をつけてね。もう5人も居なくなってるんだから」
「大丈夫、2人は生きて機体を脱出してるよ。1人は重傷だけど、命に別状はないってさ」

 仲間に1人がフレイにパイロットの生存を教えてくれた。それを聞いたフレイは一瞬とはいえ表情を輝かせ、やっと周囲の意見に従って格納庫へと戻っていった。どうやら部下を死なせてしまった事への責任感が彼女に無茶をさせようとしていたらしい。

 格納庫に戻ったフレイは機体をベッドに固定し、コクピットから上半身を出して下を見た。

「損傷箇所の応急修理をお願い。あと、予備のシールドと何でも良いから武器を!」

 フレイの言葉で近くにいた整備兵たちが大急ぎで動き出し、整備台が105ダガーに横付けされて損傷の激しい装甲の交換などを始めていく。昇降機で地上に降りたフレイは格納庫の中に被弾した機体が幾つも立てかけられているのを見て、味方の犠牲が多い事を改めて実感していた。

「私が、もっと上手くやれていたら……」

 ここにフラガやキースが居たら、フレイは良くやったと言っただろう。アルフレットが居たら、小娘1人に誰もそこまで期待しとらんとか言ったかもしれない。だが、今ここには彼らは居ない。そのことも更にフレイの重荷となっていたかもしれない。
 近くのコンテナの上に腰掛けて自分の不甲斐なさを悔しがっていたフレイの元に、オイルで真っ黒になっているセランが駆けつけてきた。

「少尉、装甲と駆動部の応急修理は完了です。シールドはジョイントがやられていましたので、時間が無いので溶接で固定しました。戦闘終了後に腕ごと交換します!」
「他に大きな異常は?」
「細かい所はありますが、戦闘に支障は無い筈です!」
「分かりました」

 セランの言葉に大きく頷いてフレイはコンテナから降り、ヘルメットを小脇に抱えて昇降機に乗る。そして上昇ボタンを押そうとしたのだが、それを駆け込んできた兵士の叫びが止めた。

「大変だ。ザフトのMSが軌道上から降下してくるぞ。数は24機!」
「…………」

 それにフレイは絶句したが、何時までも絶句している余裕は彼女には与えられなかった。この直後に格納庫に爆風が駆け抜け、フレイは爆風に飛ばされかけて105ダガーの装甲の影に転がり込んだ。そして爆風が去った後でゆっくりと上半身を起こしたフレイが目にしたのは直撃で大穴が開いた格納庫の壁と、吹き飛ばされた整備兵たちであった。小口径の徹甲榴弾だったのか犠牲者は少ないようだが、それでも両手で数えられない兵士が倒れている。その大半は息があるようでよろよろと身を起こしたり床で苦しそうにもがいている。その負傷者達に無事な整備兵たちが駆け寄って行く。
 フレイはその様子に呆然としてしまったが、すぐにあることに気付いた。MSの影に居た自分があれだけの爆風にわれたのだ。じゃあ、少し離れていた所に立っていたセランはどうなったのだ。

「セランさん……セランさん!?」

 慌てて周囲に視線を走らせたフレイは、少し離れた所で2人の整備兵に助け起こされているセランの姿を見つけることが出来た。だがそのセランは仲間の呼びかけに反応することも無く、口から一筋の血を流していた。




機体解説

GAT−01D ロングダガー

兵装 ビームライフル
   シールド
   ビームサーベル
   75mmイーゲルシュテルン
<解説>
 ストライクダガーを強化したMSで、強化兵などが使うための機体。ソキウスの1人と共にアズラエルの気紛れでテスト目的に持ってきていた。普通のナチュラルに扱える機体ではなく、Xナンバーと同じく開発意図が良く分からないMSである。
 この機体のコンセプトを元にしたナチュラル用のデュエルダガーも開発されており、一部の熟練兵向けに配備が進められている。




人物解説

イレブン・ソキウス 男性
 ソキウス計画で作り出された戦闘用コーディネイター。ナチュラルには絶対逆らえないよう遺伝子レベルで調整されている。本来なら対ザフト戦の切り札となる筈であったが、強化人間の完成やナチュラルでも運用が可能なMSの完成によって存在意義を失い、処分されかけていた。その戦闘力は強化人間を上回るようで、纏まった数が実戦に投入されればどれほどの脅威となるかは計り知れないが、現在の所、彼らの運命はアズラエルの気分と言う名の天秤に乗せられている。
イレブン以外にも複数のソキウスが存在する。



後書き

ジム改 マドラスが教われて大苦戦中。
カガリ 私がアークエンジェルの指揮ねえ。
ジム改 出来るでしょう。准将閣下。
カガリ ……確かに私が一番なんだろうけどさ。キサカも居るし。
ジム改 でも何故キサカは一佐なのにカガリは准将なんだろうな?
カガリ さあ? 空将とかだと上の階級が無くなるからじゃないの。
ジム改 ふむ、まあその辺りはどうでも良いか。
カガリ この戦いが終わったら私はアズラエルに苛められるのか。
ジム改 頑張れ、放蕩王女。
カガリ 誰が放蕩だ、誰が!?
ジム改 国を飛び出して各地を点々とするような王族は放蕩者と言わないか?
カガリ …………
ジム改 では次回、目の前で大切な人を再び失う恐怖にフレイは震えます。
カガリ そして私が初めてまっとうな立場で表に立てる日が来る!
ジム改 でもギャグキャラからの脱却は無理だねえ。
カガリ それでも良い!
ジム改 開き直りやがったな。
ラクス 私も出ますのよ。
マルキオ 一応私も。

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