3.客車

3.客車


 客車の型式は、電車や気動車と同じで「カタカナ記号+数字」の組合わせになっていますが、カタカナ部分の構成要素が電車や気動車とは異なっています。電車の場合はカタカナの頭の文字は「ク」や「モ」などの運転設備、そして気動車の場合は気動車であることを表わす「キ」で始まるのに対して、客車の場合は車輌の重量を表わす記号が最初に来ます。このような付け方をする理由には、客車は機関車に牽引されるため、その機関車の性能に対して客車の編成全体の重量がすぐに計算できるように、ということがあります。
 

 1)「カタカナ記号」について

 重量を表わすカタカナ記号は、軽い方から「コ」・「ホ」「ナ」・「オ」・「ス」・「マ」・「カ」で、それぞれの車輌重量が5トン毎の刻みになっている。最も軽い車輌「コ」の場合、定員の乗客が乗ったと仮定した重量で22.5トン未満、最も重い車輌「カ」の場合、定員の乗客が乗ったと仮定した重量で47.5トン以上とされています。なお、詳細については以下のとおりです。

   「コ」:22.5トン未満
   「ホ」:22.5トン以上−27.5トン未満
   「ナ」:27.5トン以上−32.5トン未満
   「オ」:32.5トン以上−37.5トン未満
   「ス」:37.5トン以上−42.5トン未満
   「マ」:42.5トン以上−47.5トン未満
   「カ」:47.5トン以上
    ※定員の乗客が乗ったと仮定した重量です。



 そして、重量に続くカタカナ記号は、電車や気動車と同じく車内設備を表わす記号で、電車気動車の場合と同様で、グリーン車なら「ロ」、普通車なら「ハ」となっています。

   「ロ」:グリーン車
   「ハ」:普通車

 なお、寝台車の場合、A寝台車なら「ロネ」、B寝台車なら「ハネ」となり、乗客が乗れない荷物車は「ニ」となります。

   「ロネ」:A寝台車(「ネ」は寝るのネ)
   「ハネ」:B寝台車
   「シ」 :食堂車(「シ」は食堂のシ)
   「ニ」 :荷物車(「ニ」は荷物のニ)



 そして最後にもう一つ「フ」が付く場合があります。それは、緩急車の場合です。客車は編成の中に運転室がないため、ブレーキをかけるのは基本的に機関車の役割になっています。しかし、客車だけで止まっているときのために簡単なブレーキや非常時に客車側で操作できるブレーキが必要となります。そのため、車両の一部に車掌室を仕切り、手ブレーキを装備した車輌が必ず編成に組込まれています。これが、「緩急車」です。この緩急車には、車掌室やテールライトも装備されて、編成の最前部や最後部に連結されることになります。

   「フ」:緩急車

↑「オハフ46」は、車輌重量32.5〜37.5トンの普通車で、車掌室などが装備された緩急車ということを示している。「2027」は、2027番目に製造された訳ではなく、オハ47を緩急車化したことから2000番代に改番されている。(車輌側面に記載)

↑緩急車には、手ブレーキが装備されている。

 2)「2桁の数字」について

 客車は、2桁の数字で表されます。10の位、1の位の意味は次のようになっています。


 *10の位については、客車の形態(固定編成型、一般型 etc...)を表わしています。

   「 1 」:軽量客車
   「 2 」:固定編成客車
   「3〜5」:一般型客車
   「 6 」:鋼体化客車
   「 7 」:戦災復旧客車
   「 8 」:和式客車
   「 9 」:特殊客車


 *1の位については、車輌の軸の数を表しています。

   「0〜7」:2軸
    「8 、9」:3軸

↑「スハフ12」は、車輌重量37.5〜42.5トンの普通車で、車掌室などが装備された緩急車ということを示している。「31」は、31番目に製造されたことを示す。(車輌側面に記載)

 

 3)「固有番号」について

 型式の後に付けられる固有番号については1番から付いていきます。