Field Note 2007(part 2) *下へ行くほど最新です

 




I'm sittin' on the stone by the stream , Wasting time

 出掛けるコトが決まれば、その日のコンディションを想像し、持てる全ての知識と経験で目指すポイントを吟味する

 道中の各ポイントに止まっている車をチェックし、先行者の姿や水量に一喜一憂しながら心に決めたポイントに急ぐ

 そして車を止め、大急ぎで着替え、タックルをセットし、小走りに草むらをかき分けると…細く、浅い流れがそこにある
 
 釣るためにあれほど必死に情報収集しアタマを使ったのに、結局はその流れ
に足首まで浸かれば、それで満足してしまう…

 数も出ないし、サイズもそんなに大きくない…それが僕の"カーティス・クリーク"寒狭川だ


June "Hit and Away"
6月20日(水) 根羽川(長野県)

 全国各地の渓流は巷間言うところの”ベストシーズン”らしい

 まー、年がら年中たいして釣れていないので、自分なんぞは3匹も釣れれば『今年最後の釣り日和だ!』といつも思ってしまうワケだが、さすがにあちこちのブログやらWEBサイトを見ていると目眩がしそうなほど釣りに行きたくなる…

 ということで、今回も往復の所要時間の方が実釣時間よりも長い『ヒット・アンド・アウェイ』の釣り…目指すは解禁からすでに3ヶ月近くが経過した根羽川への今期初釣行である

 いつものよろず屋で「アマゴの年券ください」と言うと、「今から年券…もったいないから、やめた方がよくないかい?」と逆に日釣券をすすめてくれる御年85歳の店主とひとしきり世間話などした後、支流の最上流部へ車を走らせる…



何とかならんのか、ココのゴミは!


ヒレピン!…写ってないけど(自爆!)

 さすがに近隣のメジャー河川がそろって鮎解禁となったこの時期だけあって、この日の根羽は見渡す限りの貸し切り状態。最上流部から本流まで、およそ(アマゴの)釣り人らしい車は1台も見かけない

 ところが、こうなると逆に不安になる
 『やっぱり…全部釣りきられたんじゃないか…』

 そんなイヤな予感に襲われつつもキャストした第一投…釣れちゃった。しかもこの川ではかなりデカい部類に入る7寸超の美形アマゴ…

 その後もどのポイントからも必ず何がしかの反応があるが、そのどれもがこの時期のお約束の稚魚放流モノじゃなく、6〜8寸の美形ばかりである

 『あぁー…毎日来たい…』などと思いながらも、何しろ時間がないので、早めに切り上げて別の支流へ向かうことに…

 向かった先は県境にほど近い支流のそのまた支流…
 なぜココを目指したかというと、この支流は夏になるとアブやら蜂の類が大発生しコワくて近寄れなくなるため、『今のうちに…』と思い、せっかく異例の好調さを見せたさっきの支流を後にしたのである

 ところが、この支流が何かの土木工事が入ったらしく、すっかり渓相が変わってしまっていた
 いつも良型がライズしていた木の下のプールは跡形もなくなり、川底には大量の白砂が堆積していた


 それでも確かに魚影は確認できたのだが…しばらくすると顔の周りでイヤーな羽音が聞こえてきた…

 『もう少し…あそこのプールまで…』
 しだいに大きくなる羽音に恐怖しながらも、過去何度もナイスサイズを仕留めたプールにたどり着いた


 『さて、ラインを…あ゙ーーー祭ったぁーーー!!』
 結局、そのプールではただのワンキャストもできずに、撤退することとなった

 やっぱり、日釣券が正解だったかもしれない



年券っても、関西の日釣券程度の額だけどね…
July "悶々…"
7月17日(火) 寒狭上流(愛知県)


「ワーイ!555だ!」…で、釣りになるのか?

 さすがに寄る年波、衰えの隠せない肉体…ということで、この日は午前中に”人間ドック”とやらを受診した
 ところが採血を終えて待合いスペースでくつろいでいると、妙に看護婦があたふたと走り回っている。そしてしばらくすると…
 『○○(←自分の名前)さーん、もう一度お入り下さーい』
 なんと採血に失敗したらしく、やり直しを命じられ再び太い注射針をブスリ…ところが『あ、エアが入っちゃった!』
 (ー_ーメ)  

 で、職務質問されたら即逮捕されかねない注射跡&皮下出血だらけの腕とバリウムを胃に抱えたままノコノコと昼から出動したのだが…

 寒狭頭首口の流量計は今まで見たこともないような異次元の数字を表示中。花の木公園のダム滝も本家ナイアガラ真っ青の豪快なしぶきをあげている

 『こりゃウカツなポイントに入ると新聞沙汰だな…』
 ということで、当貝津支流の完全護岸の親水公園へ向かうことにした

 久しぶりにやってきた護岸帯は案の定大激流。いつもは湿っている程度の堰堤では、流れ落ちる水が白い壁になっていた

 とはいうものの、脇の階段からヒョイっと浅瀬に降りることができるのがこのポイントの良いところ。何気なく投じた第一投に水しぶきがあがる


 『なんか…茶色かったような…ハヤかな?』
 かつては至る所で良型のアマゴがライズしていたこのプールも、上流での土木工事のせいで礫砂が堆積、さらに工事現場での取水と慢性的な渇水のせいで夏には藻が発生するようになり、いつしかハヤのパラダイスになってしまったため、この数年はあまり近寄らなかったのだった

 しかし、この状況では移動したところで釣りになる可能性は低く、『ま竿を出せるだけでもイイか…』とキャストを繰り返すと再び水しぶき…

 『今度は銀色だったぞ!
 
  …オイカワかな?』



葦の様子を見るに、前日はもっとスゴかった?


寒狭ではちょっと珍しい色艶のアマゴ

 月イチペースの釣行のせいか、すっかり疑い深い人間になってしまったようだが、3度目の水しぶきにやっとフッキングを成功させる

 『おぉ!引く引く!!』

 その力強いローリングファイトにほぼ2ヶ月ぶりの寒狭アマゴであることを確信。充分にやりとりを堪能しながら引き寄せると、やや青みがかった色白で朱点の少ない精悍な表情のアマゴだった

 『そういやこの川のアマゴはこんなんだったかなぁ…』

 ひとつ上流の支流では飴色っぽいアマゴ、その上では朱点の少ないパーマークの丸いアマゴ…
 イワナ同様にその流れごとに個性的な表情を見せる寒狭のアマゴ…

 去っていった台風、戻ってきたアマゴ…こんな護岸のまっただ中でも、自然は確実に息づいていた  

7月25日(水) 寒狭上流(愛知県)

 1週間も前のコトを得意げに”New!”とか貼ってアップするのも恥ずかしいけど…このところ過労気味でぶっ倒れていたのでカンベンしてほしい

 さて、この日は久しぶりに朝イチから釣りに行けるという休みだったのだが、あまりの開放感からすっかり寝坊してしまい、目を覚ますとすでに夜明けから3時間が経っていたというテイタラク…
 この時点で当初予定していた「忍野」「石徹白」「西野」「下伊那」はすべて断念し、自宅から1時間の寒狭上流の馴染みの渓に向かうことに…


 途中の豊川本流、海老川あたりでは平日真っ昼間にもかかわらず鮎師がワンサと立ち込んでいる
 こういう光景を見るたびに思うのだが…『オマエら仕事してるのか!』と、お約束の自爆ネタをかましつつ、鮎師を避けて上流部の支流へ



ネットの目がデカいんで、逃げられないかと…


(サイズの割に)精悍な顔つきのアマゴ

 ここは、こういった多少増水気味の際にはナカナカの釣果が期待できる区間…1投目でフライを追っかけてくる良型の姿が確認できた

 『コレは!…デカいかも…』

 腰をかがめ(最初からそうするべきだとは思う)、丁寧にもう1度流すと…良型が出てくるであろうポイントの50センチ手前で水しぶきが上がり、20センチちょっとのこの川らしい岩魚がヒットした

 『さっそく写真を…』と思いカメラを用意するが、コレが焦る
 何故なら、今回持参したネットは、昔使っていたBrodinのフレームに3000円くらいで買った別のモノのネットを無理矢理付けたモノで、コレが編み目がバカみたいにデカい

 なので、このサイズの魚だと編み目から逃げてしまいそうなのである

 結局、上の画像のような何だかわからない写真を焦って撮ってリリースしたが…こうして見ると、そんなサイズでもなかったような…チッ

 その後も同サイズのアマゴが何匹がヒット。すっかり満足したので、帰り際は堰堤にドッカと腰をおろし、ダラーンとラインを垂らしての手抜きの釣りに興じた

 群泳するハヤの合間に見える一際大きな魚影に向かってニンフを落とすと…掛かったのは見たこともないような大モノの絹姫サーモン…ではなく、アブラッパヤだった

 『今まで朝な夕なに結構真剣に狙ってたけど…ココのプールのライズって、もしかして全部コレか?』

 すっかり脱力したところで納竿。街道沿いの純和風コンビニ前の自販機でジュースかスポーツドリンクが迷いながらもスポーツドリンクを買うと…『もう1度、お好きなボタンを押してください』とのアナウンス…

 『おぉ!当たった!!』
 この日イチバンの”大物”500mlのジュースをゲットしたのであった



苦節10数年、ついに…!
August "Fever ! "
8月14日(火) 忍野(山梨県)


あぁ麗しの忍野…でもクソ暑い

 暑い。この1〜2週間死ぬほど暑い

 例年ならこんな季節はトットと釣り竿を持って山へ避難するワケだが、諸般の事情により今年はなかなか家を空けることができない

 そうなると、夜な夜なアノ景色にうなされる…
 目の前を流れる水路のような川に、ブラウン・レインボー・それにヤマメなんかがワサワサ泳いでいて、そこに毛鉤を落とすと…『すーーっ…ぱくっ!』
 (ま、実際にはそんなにカンタンに釣れないんだけど…) 

 そんな眠れぬ夜を過ごしているときに悪魔の囁きが訪れる
 『14日は忍野に行きます。どなたか一緒に…』

 言葉巧みに妻と子供を妻の実家に追いやり、仕事を投げやり、ついに確保した終日フリー
 さぁ、集合場所のM'sさんの豪邸に向けて出発!

 例によって下道で一路忍野へ

 さぞや渋滞が…と思いきや、意外なほどいいペースで現地到着。しかも釣り人も普段の週末よりも少ないくらいで、テンションはさらに上がってきたが…


 魚影が驚くほど少ない
  (とは言っても『50匹/6畳』が『30匹/6畳』になったくらいで、他の河川に比べれば驚異の魚影なんだけど…)

 とりあえず釣り堀横でなんとか数匹をキャッチできたが、あの魚影に慣れてしまっているのでイマイチ盛り上がってこない
 
 そこで2人を追って橋の上流で向かうと…人を待っていたかのようにフリーストーンを曲げてる御仁の姿が…

 気が付かなかったフリをしてそのやや上流に入る
 ここは比較的反応がよく、綺麗なレインボーを数匹キャッチしたところで再び釣り堀横へ向かった


釣る釣る釣る釣る、携帯落とす


反則

 この頃からライズリングがいたるところで起きていたため、小さなドライにチェンジ。表層に付いているヤマメを狙うが…流下しているモノなら葉っぱだろうがゴミだろうが口に入れてるくせに、自分のフライだけは食わない

 そこで、見えてるヤマメをあきらめ、対岸の木が覆い被さった日陰にキャストすると…けっこうなサイズの魚影が追いかけてきたのが見えた

 しばらく場を休ませ再びキャスト…
 『来た、来た…キタ━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━!!!!!』

 『うおぉーーーーーっ!!』
 予想外のサイズに、横にいるハズのM'sさんに聞こえるようにデカい声で叫び声を上げたが…そこにいたのは知らないアンチャンだった…
 ちょっと気まずい雰囲気の中、なんとかネットに入れることができたのは、忍野5回目にして初めて(笑)のブラウン。ネットに入れたまま一応計ってみると38センチ

 でも、きっとちゃんと寝かせて尾鰭から鼻先までキチンとメジャー当てれば40センチを超えていたに違いない

 昼は生中と焼き肉で幸せなひとときを過ごし、再び川へ
 アルコールの勢いでM'sさんと一気に金田一まで釣り下る…が、コレが失敗だった

 暑いわ魚はいねーわ、しかもヤマメのライズに2人そろって玉砕するわ…
 「上流に戻りましょう」
 撤退途中、東電吊り橋跡のあたりでsammyさんの姿を発見。一応、社交辞令として釣果を尋ねてみる

  『50センチと、45センチと…』…聞かなかったコトにしようかと思った次の瞬間…『で、ネットを落として、それを拾おうとしたら携帯が…』

 皆さん御存知のとおり、sammyさんは釣った魚を全て携帯電話のカメラで撮影している。というコトは、その50センチはもちろん、この日の釣果の全てが、文字通り”水泡に帰した”というコト…

 おそらく今頃電話屋さんにいるsammyさん…『今度は防水の携帯にしましょうよ(できれば浮くヤツを)』

※sammyさん、M'sさん、運転その他何かとありがとうございました!



ついにブラウンGetぉー!
8月某日 根羽川(長野県)


いつの間にこんなおぞましいモノが…

 ”某日”キタ━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━!!!!

 もう家では「仕事行ってくる」って言って、実際はズル休みしているのがバレバレな表現…こんなバカはもうそろそろやめようかと思う

 そうまでしてやってきた根羽川はこの日もとても調子がいい
 サイズにさえ目をつぶれば、ほとんどワンキャストワンヒットで釣れる
 (ただ、その”サイズ”とやらは並はずれて小さい)

 『いいかげん稚魚虐待はやめよう…』とは思っていても、フライに水しぶきが上がれば『シャァーーーっ!』とついついロッドを立ててしまう…

 そこで、『どうせチビなら、久しぶりにイワナの顔が見たい…』ということで、その上流の二股を右に入ると、
最初の小さなプールで、いきなり25センチくらいあろうと思われるサカナに走られた…

 『とりあえず、魚はいるようだな…』と自分に言い聞かせ、イワナのポイントを叩いてみるが…出てくるのはさっきよりもさらに小さなアマゴ、しかも異様にスレていやがる

 それでもシブとく釣り上がっていくと、恐れていた事態が発生していた
 川底が白…というか、一面グレーになっているのである

 もちろん、コレはこの谷の岩盤のせいなんかじゃなく、この上流で続々増えている別荘建築時に投棄されたモルタルカスなのである

 別荘地から流れ込む排水が作り出す白いプールで、数匹のアマゴがライズしていた…
 おそらくちょっとでも川に立ち込むと、その小さなプールはたちまち乳白色に濁り、必死で生き延びているアマゴのエラにこびり付くのだろう

 サッサと林道に上がり、川を見下ろした
 そしてこの谷の”最後の姿”をまぶたに焼き付けた



コレでも今日イチ!(爆!)
8月26日(日) 寒狭上流(愛知県)



あぁ…泳ぎたい…

 稲目トンネルを抜けていきなりド肝を抜かれた
 路肩は車で一杯、待避所もギッシリなのである

 『スゲーな。やっぱ鮎釣り人口ってのは…!』


 やがて見えてきた川の様子…それは、林立する鮎竿ではなく、無数の浮き袋とバーベキューの煙だった

 『そうか…一部世間では、まだ”夏休み”ってヤツなんだ…ふーん…クソッタレが!

 そんなこんなで、女連れでキャーキャーやってる学生どもに殺意を、家族連れでバーベキューの準備に余念のない妙に色白のお父さんに哀れみを感じつつ、追いやられるように上流へと車を走らせ、たどり着いたのは5月に先行者により入れなかった大名倉

 数日前の雨のせいか
水量も申し分なく期待充分!で釣り始めたのだが…

 魚の影すら見えない
 ま、良く晴れた日曜日の真っ昼間。冷静に考えればこうなるのはわかっているワケで、とりあえず川歩きを楽しむ

 『あー、やっぱり大名倉はイイなぁ…』などと油断していたら、川底からパーマークのある魚(笑)が垂直にフライに食いついてきた
 『お、おぉお!!』

 ちょっと見栄を張って(誰に?)繋いでいた7xのマキシマはあっさり切れた…

 我に返り、6xに付け替えると、今シーズン寒狭でイチバンとも思えるアマゴをゲット
 その後、木の枝の下でライズしていたイワナを狙うが、コレには玉砕…

 アマゴ、イワナ、釣れる、釣れない…これぞ寒狭上流、これぞ大名倉
 コレでいいんです。コレが楽しいんです。負け惜しみぢゃありません!(誰に対して??)



いやー、たいしたモンだ!
September "time is …"
9月12日(水) 根羽川(長野県)



すすきの向こうのビニールハウス…
もう直さないのだろうか…

 去年までなら釣行計画を1日2日ズラすなど造作もないことだった

 朝起きて「なんだ雨か。じゃ明日休むことにして、仕方ないから今日は仕事にでも行くか!」でなもんだ

 しかし、今年は「今日は行く!」と決めたら何が何でも行かなくてはならない
 なぜなら、その機会を逃すと次はいつになるかわからないからだ(とか言いながら今年も数えれば20回目の釣行だったりするが…)

 ということで、気になるのは先日の台風以来降り続けている雨
 先月同様の状況のときは、寒狭頭首口の流量表示は”55.5t/秒”だったが…『お、なんだ”0”か。こっちは全然降らなかった…なわきゃねーじゃん!』

 眼下には津波のような激流が流れている。どうやら表示計が壊れたらしい
 しかし、この日の目的地は一山越えた先…たぶん何とかなるだろうと折元の峠を越える

 予想通り、根羽川は寒狭ほどの増水はない…
 というか、年中渇水のこのあたりの渓流からすれば、むしろほどよいコンディションと言うべき状況かもしれない

 しかし悲しいかな先日の町内大運動会での4種目出場の後遺症もあり、念のため下半身への負荷の少ない最上流部のチャラ瀬が連続する区間に入ることに

 しかし、ここで恐れていた事態に陥る

 前述したように、普段の足首がかろうじて水に浸る程度の水量に慣れきってしまっているため、まったくポイントが分からないのである。あはは

 そのため、普段(=渇水時)なら反応があるはずのポイントへ向かう途中の瀬で何匹もの良形に走られる始末だ

 そうこうしながらも、いかにも!のポイントでやっと1匹目をヒット。その後にすぐにもう1匹をキャッチ。すっかり気をよくして『そろそろ帰ろうか』と思ったときだった



この時期根羽はいつも何故か良形…



トラックが爆走する国道の下では
良形アマゴがライズ中…

 最後の1投と思ってキャストしたフライに、この川では見たこともないような大きな影がゆっくりと寄ってきた…が、食わない

 『おいおい…尺あるんじゃないか?』

 慌ててラインを長くし、フライを新品のCDCダンにチェンジする…が、今度は慣れないロングティペットにコントロールがままならない上にフライがよく見えない
 そしてお約束の”オマツリ”でタイムアップ。所用のため自宅へすっ飛ばして帰ることに…

 帰り道、あの故障していた流量計が復活し、何やら数字を表示している…「なになに…72.3?!!」

 ということは…「さっきの”0”は、壊れてたんじゃなくて、100オーバー”00”だったのか!」(2桁+コンマ1桁しか表示不可能なため)

 こんな日に釣りに出掛けるような人間は、きっとロクな死に方をしないと思う

※「オレはロクでもない死に方はイヤだ!」という方、コチラ(↓)をご覧下さい


「全国一斉マイホームグラウンド(HG)勝手にゴミ拾い」

9月25日(火) 寒狭川上流(愛知県)

 『竿とリールは載ってるし、ウェーダーやらベストやらは積みっぱなしだし…よーし、出ー発っ!!』

 3連休のために準備万端で車に積んでおいた釣り道具一式…しかし、止むに止まれぬ事情のため雪隠詰めの3日間だったのだが、連休明けの一瞬の間隙をついて出動となった

 ということで行き先は当然近場の寒狭川
 水量・気温とも申し分のないコンディションにもかかわらず、鮎師で賑わう区間を過ぎるとウソのように釣り人がいない

 『いやー、こりゃ釣れちゃうナ。たぶん』
 含み笑いをかみ殺し、まずは大物の潜む(というウワサの)プールへ…

 岩陰からそーっとのぞき込むと、1匹だけ色とサイズが明らかに違う魚影を発見
 ハナ先1メートルにフライを落とすと…



画像は全部通話機能付きデジカメで撮影



この下のプールも拡幅工事で埋まるのか…

 ゆっくりと浮上し・・・”スポッ!”
 合わせた瞬間、ゴリゴリと底へ潜ろうとするイワナ特有の、しかも重い手応え

 『こりゃ結構デカイんじゃ…全然浮いてこねーぞ…あ゙ーーーっ!』
 結局、一度もその姿をハッキリとは確認できずにバレてしまった(推定:イワナ27センチ)

 気を取り直してその上のプールへ
 いつも良形が付いてるあたりを流すと…”ガバッ!”
 今度はハッキリ見えた幅広のアマゴ。しかも手前まで寄せると結構なサイズ
 『おぉ!イイねぇ!さて、ネットネット…あ゙ーーーっ!』
 またバレだ(推定:アマゴ25センチ)

 頬を引きつらせながらも農作業のオバチャンに笑顔で会釈しつつ、さらに別の支流へ…

 入った最初のポイントで尺近いアマゴに走られながらも、なんとか神経を繋ぎ止め実績のあるポイントへ…

 入魂のロングキャスト@5メートルでうまく流すと…”バシャっ!”
 この日イチバンの手応え&激しいファイト!
 『シャ…尺か?!…あ゙ーーーっ!』
 やっぱりバレた(推定:ホーライ?30センチ)

 ほかにも、この日は25センチ級を中心にことごとくバラされ、まともにキャッチしたのは20センチ以下が数匹…ウハウハというか、バカヤローというか…

 ただ、こんなバレバレの1日だったけど、ひとつだけ救いがあった。それは…『デジカメ忘れちゃった』

 仕方がないので携帯のカメラで景色を数枚撮影したら、メモリまで一杯になっちまいやんの。ということで…

 『あー、尺釣れなくてよかった!』



秋のお約束画像
(携帯カメラが勝手にソフトフォーカス)
New!    
9月30日(日) 寒狭川上流(愛知県)



この流れらしい丸班・朱点ほぼナシのアマゴ

 数年前から9月末までの漁期となった寒狭ではあるが、それでも結構暑い中での”最後の釣り”をしてきたように思う

 しかしこの日は里の気温表示は17℃。『やっぱり秋だ。もう魚は釣っちゃいけない季節なんだ』と実感する。が、きっと11月からは天竜にも通うと思う。年券買っちゃったし

 そんなめっきり涼しい上に結構な雨が降る中、最後の釣りの準備をしていると見覚えのある車が近づいてきた

 『おはよう!』とドスの効いた声と一度見たら忘れられないご尊顔…超人気サイト「流離の渓流師」の流離さんだった  

 ひさしぶりにお会いする流離さんとは、実はこの日一緒にゴミ拾いでシーズンをしめくくることになっていたのだが、そこはやっぱり釣り師。『その前に1ラウンド…』ということで、上流と下流に分かれてまずは”釣りの部”からスタートした

 降りしきる雨の中、まずはいつもの支流へ

 そこでは”雨のようなライズ”ならぬ、ホントの雨で水面は波紋だらけ…小さなドライフライは何だかわからない挙動を見せつつ虚しく流れるだけであった

 ポイントを移動し、火曜日に良形に足下で逃げられたプールへ
 すると”良形”とはいかないけれど、”寒狭ならコレで上出来”のアマゴが数匹ヒット。火曜日とはうって変わって1匹もバレず、素直にネットに入ってくれた  

 そんな上出来な釣りを終え、設楽町の役場へ向かう
 いよいよ今日のメインイベント、『勝手にゴミ拾い』の準備ため、事前に申し込んであった設楽町指定のゴミ袋をいただきにいくことになっていたのだが、この町の役場の人は実に親切で、分別の仕方からゴミステーションの場所等、細かい案内図もいただいた

 まったく…某市の役所にも見習ってほしい清々しい対応であった



こういうのを見ると怒りより虚しさが…



拾いきれないのがこの数倍捨てられています
(後は役場の方でひとつよろしく…)

 さて、ゴミ拾い予定地で再び流離さんと合流
 なんでも”本当の”良形イワナが釣れたらしい。いやー、流石、流離さん!(韻ふんでみました)

 予定時刻が近づくと、この渓流シーズン最後の1日をゴミとの格闘に費やそうという奇特な方々が集まってきた

 これまで至る所で何度もニアミスしながらお会いできなかった「ゼフのフィールド日記」のゼフさん、ちょうど3年ぶりの再会となった「さおだし隊」のSUEさん、そして流離さんのところでお見かけする「渓魚と戯れ」の
みひらさんぺいさんの総勢5名にて、寒狭川きっての不法投棄ポイントである鰻沢周辺にてゴミ拾い開始!

 すると…まぁ相変わらずのヒドい状況
 お約束のペットボトルや空き缶はさておき、明らかに業者が投棄した食品トレーの山、家具の残骸、果てはエロビデオにご丁寧にビデオデッキまで付いているというサービスぶり…

 とりあえず5人の人力でなんとかなる範囲を片付け、後は…役場にお願いするとしよう(苦笑)

 さて、一仕事終えていつも入る川の真横のうどん屋サンで一服

 初めて同士の方も多かったけど、まぁほとんど気も遣わずに盛り上がれるのは、
餌釣り、ルアー、そしてフライと釣り方こそ違うものの同じ”釣り師”ならでは

 「○○川に流れ込んでる幅1メートルくらいの枝沢で…」
 「あ、ソコ知ってる」などと、100キロも離れた川のピンポイントのエリアの話題などで盛り上がりつつも、気になるのはすぐ横の流れ…

 「思ったより増水してないですよね」
 「なんか、出そうですよね」
 「やりますか?」

 ということで、自分とゼフさんで本当の釣り納めスタート
 小型ながらもキレイなアマゴとイワナも顔を見せてくれ、心地よい疲れもあり、例年になく満ち足りた寒狭最終日であった



やっとお会いできたゼフさんの勇姿




ゴミ拾いで一汗流した後はエロ話…ではなく、各地の情報交換。それにしても皆さん詳しい!

 気温マイナスの大雪で始まり、大雨で終わった今年の寒狭でしたが、終わってみれば本当に良いシーズンだったように思います

 いろんな事情により、今年は”丸1日釣りに出掛ける”ということができず、必然的に1時間あまりで行ける寒狭上流中心の1年になったわけですが、おかげで久しぶりに入るポイントがまだまだ健在だったことに安心したり、シーズン当初は酷い荒れようだった支流も季節が変わるごとに活き活きしてくる様を見たりして、自然のたくましさを感じるとともに寒狭上流の懐の深さを実感しました

 しかし、その一方で当貝津では道路拡幅工事でプールが埋まったり、山奥で大規模な土木工事(ダムの付けかえ道路?)が始まったりと、自然の力を持ってしても何ともならない状況も目に付きました

 実は、(ダム建設が既成事実となってしまった)今シーズンを迎えるにあたり、自分はひとつの夢を実現するべく行動をおこすつもりでいました
 それは、ダム建設後の大名倉の上流…つまりダム湖に流れ込む本谷川を”キャッチ&リリース区間”にしたい…という夢を実現すべく、漁協・設楽町・愛知県に提案するつもりでいました
 しかし、その前に釣り人として何をするべきなのか?本当にそれが望まれているのか?ということについて考えさせられる出来事もあり、結局行動を起こすに至っていません
 

 幸か不幸か、ダム建設が本格的に始まるまで、まだ数年残されています

 それまでに自分にとってのベストの回答が見つかるかどうかわかりませんが、この素晴らしいフィールドがダム建設後も多くの釣り人に愛される川であるように、自分ができることをやっていきたいと思います

 最後に、禁漁を待たずにこの地を離れ東京へ旅立った洋さん
 寒狭川はいつでもあなたの”帰り”を待っていますから、また来年ここで一緒に魚に遊んでもらいましょうネ!

2007,9/30 … by taro …

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