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Top Pageおはなし>仏教の教え−大切なもの
大切なものは?
自分にとって大切なものはなんでしょう?自分の親、家族、連れ合い、友人、お金、地位、名誉、その他いろいろと挙げることができましょうが、なにより一番大切なのは自分自身だと思いませんか?エゴイスティックに聞こえるかもしれませんが、確かに自分自身は一番大切なものだと思います。
「情けをかけてもその人の為にならない」という意味で使いがちな「情けは人のためならず」という言葉、本来は、「情けをかけることはその相手のみならず、めぐりめぐって自分のもとに返ってくる」という意味です。しかし「自分に戻ってくるんだったら・・・」という打算的な気持ちの情けはいわゆる偽善というもので、決してほめられたものではありません。そのような情けではなく、あくまで布施の気持ちが大切なのです。(「布施」について詳しくは「布施」の項をご覧下さい)見返りを求めず、無心で情けをかけることはとても素晴らしいことです。しかし、それでもやっぱり、一番大切なのは自分自身であり、自分を大切にしないで人を大切にすることはできないのです。お釈迦様も「一番かわいいのは自分である」ということを否定されませんでした。

かわいい自分
釈尊(お釈迦様)が祇園精舎にいた時のことです。インドにコーサラ国という国がありました。その国の王様とそのご婦人は大変信心深かったのですが、ある時二人が会話をしていて「自分が一番いとしい。自分自身ほど愛せるものはない」という結論に達しました。二人の意見は一致したのですが、本当にそのような考え方でよいのだろうかと不安になり、急いで釈尊のところへ行って教えをこいました。
釈尊はこうこたえられました。

人の思いはいずこへ行くこともできる。
されどいずこにおもむこうとも
人はおのれよりもいとしき者をみいだすことはできぬ
それと同じく、他の人々にも
すべておのれはこの上なくいとしい
されば、おのれのいとしい事を知るものは
他の者にも慈しみをかけねばならぬ

釈尊も「自分以上に愛せるものはいない」ということを否定してはいないのです。自分が一番愛しいという事を感じるからこそ、他人も同じようにそれぞれのことが一番愛しいと思っていることが分かるわけです。だからこそ自分を愛するのと同じように人にも慈しみをかけることが大切であると釈尊は説かれました。自分がかわいいからこそ、自分の周りのご縁を大切にし、善い行いをし、よい言葉を語り、善い思いを抱かなければならないということなのです。
「いくらいいことをしても幸せになれない」、「一生懸命頑張ってるのに報われない」などと、ついつい思ってしまいます。しかし、いくら自分のもとに返ってこなくても、その行為をしたこと自体が自分の為になっているんです。陰徳を積むという言葉があります。人の見ていないところで善い行いをすることですが禅の世界において、陰徳を積むことは特に大切なこととされています。


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